保坂猛建築都市設計事務所の最新プロジェクト
18m2の小住宅「LOVE2 HOUSE」

2004年に保坂猛が設立した保坂猛建築都市設計事務所の最新プロジェクト「LOVE2 HOUSE」は、2019年2月に完成した18m2の小住宅である。

この建築は保坂自身の2件目の自邸で、延床20m2を下回る戸建の事例として、鴨長明による方丈庵(一丈四方9.18m2)、ル・コルビュジェによるカップマルタンの小屋(16.85m2)、立原道造によるヒアシンスハウス(15.15m2)などを参照したそうだ。

この3件に共通しているのは周辺環境と共にその小屋での生活全体をこよなく愛していたことだと考え、古代ローマ人がヴィラでの生活の理想とした5つの要素(学問、入浴、演劇、音楽、美食)を、この小さな家で実現させることを目指した。

冬の天空光を重視した天窓をもつメインの躯体を計画し、夏は南国を思わせるような直射光が燦々と注ぐようにして、年間を通して地球上の広範囲の緯度の光環境を楽しむことができるという。

これを具現化した建築は、軒先を町並みと揃え直線とし、屋根の上端をほんの少し湾曲させた2枚のHPシェルを、高さを違えて擡げかけたRCのシンプルな家型となった。

メインのRCの躯体から派生するサブの小壁7枚により、ダイニング、キッチン、寝室の3つのゾーンを分ける仕切りとした。小壁の表面やエッジには段々を作り、その「段」に木棚板やキッチンカウンターなど乗せ、ペンや付箋など小物類を直に置くなど「乗せる」つくりとした。

▲Photos: Koji Fujii Nacasa&Partners Inc

RCの躯体が側(大きなこと)としてだけでなく、生活の細かな設え(小さなこと)まで担ってくれる様が、この家には合うと考えたそうだ。End