オトル・アイヒャーによるミュンヘン・オリンピックの
「Design Manual of Munich ’72」復刻版が登場

1972年に開催されたミュンヘン・オリンピックのデザイナー オトル・アイヒャー(Otl Aicher、1922-1991)へのオマージュとなる、復刻版「Design Manual of Munich ’72」がサイズと体裁ともにオリジナルのままで、クラウドファンディングサイト KICKSTARTERに登場している。

リングバインダー式で、シンプルで美しさも備えた22枚の折り込みページで構成。100以上のデザイン分野のコアになりうるものだそうだ。もちろんドイツ語で書かれているが、英語、フランス語、スペイン語版のブックレットもついているという。

国際オリンピック委員会(IOC)公認の1冊で、1969年からのマニュアルを初めてリプリント。アイヒャーは、第二次世界大戦後のドイツのイメージを形成するためにルールを取りまとめたデザイナーで、オリンピック夏季大会の組織委員会の委員でもあった。

1936年に開催されたナチス政権下でのベルリン・オリンピックから約四半世紀後、これにはっきりとした反抗を示すこと、そして若き民主主義の国の精神を体現することが求められた。そこでアイヒャーは、作成したガイドラインで、「元気よく、明るく、ダイナミックで、政治色を排し、感傷には浸らず、イデオロギーもない、遊び心あふれるスポーツと文化のゲーム」を目指した。

1975年には、「信頼は言葉では得られないが、視覚的なもののみがその証しとなり得る」と語ったアイヒャー。時代を超越したデザインで、現代ドイツを創ろうとした1冊である。End