NEWS | サイエンス
2019.04.11 16:56
欧州宇宙機関(ESA)では、小惑星ペア「Didymos」に対して、「ヘラミッション(Hera mission)」という地球防御ミッションを進めている。そのために開発しているのが、宇宙船が自動運転車と同じアプローチで宇宙空間を自身で航行できる先進技術だそうだ。
小惑星ペアとは、互いに束縛されてはいないが、太陽の周りをほぼ同じ軌道で回っている2つの小惑星のこと。そしてヘラミッションは、小惑星に宇宙船を衝突させて、地球に衝突しないように軌道を変更させるミッション「AIDA(Asteroid Impact and Deflection Assessment)」の一環である。
AIDAではまず、NASAの宇宙船「DART」が軌道をそらすために、ペアのうちの小さい方の小惑星「Didymoon」に衝突。ついで、2023年10月打ち上げ予定の宇宙船「ヘラ」が小惑星への衝突で生じた偏向を評価する。
ESAのエンジニアによると、宇宙船を自動運転車のように動かして、さまざまなセンサーからのデータをつき合わせ、周辺環境の一貫したモデルを構築。ヘラにはスター・トラッカー、レーザー高度計、熱赤外線カメラ、さらには加速度計などの慣性センサーを搭載した「Asteroid Framing Camera」がデータ収集を行うという。
これによって自動航行が可能になり、ヘラはDidymoonから200mの距離で安全に移動することができる。また、1ピクセルあたり2cmまでの高解像度の科学的観測もでき、とくにDARTの衝突でできたクレーターを観察するそうだ。