MIT Media Labによる「サイバー農業」
機械学習でバジルの風味を最大化

▲Image: Melanie Gonick

マサチューセッツ工科大学のMIT Media Labの科学者にとって、農作物の味を良くするのに必要なものとは、植物学、機械学習アルゴリズム、そして少し流行遅れの化学の組み合わせだそうだ。

こうした組み合わせから、同ラボのOpen Agriculture Initiativeの研究チームは、これまでにないほど美味しいバジルを作った。もちろん遺伝子組み換えではなく、24時間たえず光をあてることで非常によい風味が生まれるのがわかったのだ。

▲Image: Melanie Gonick

同チームのプラントでは、光や温度、湿度などの環境条件を細やかに制御できるように改良した出荷用コンテナで栽培。このタイプの農業は、「環境制御型」とか「垂直型」、「都市型」と呼ばれることもあるが、まだまだニッチ市場でしかない。

また日本では、こうした「植物工場」で毎週何十万個ものレタスを生産しているが、失敗した事例も多く、費やされた努力について情報の共有が事業者間でほとんど行われていないのが実情だ。

▲Image: Melanie Gonick

このチームの目標の1つは、Open Agriculture Initiativeのハードウェア、ソフトウェア、データをすべて自由に利用できるようにして、情報の機密性をなくすことだ。プラント実験の情報はすべて、開発した機械学習アルゴリズムに入力。何百万もの光と紫外線の照射時間の組み合わせを評価し、風味を最大にする条件のセットを作成した。

これはまだ、「サイバー農業」という新しい分野の始まりでしかないという。同チームでは現在、糖尿病などの病気に効果があるバジルの開発や、気候変動への順応にも取り組んでいる。大量の情報を解析することで、短期間で多くの実験ができるのだそうだ。End