NEWS | グラフィック / コンペ情報
2019.03.26 17:58
「毎日デザイン賞」は、グラフィックやインテリア、クラフト、ファッション、建築など、あらゆるデザイン活動で、年間を通じて優れた作品を制作、発表し、デザイン界に大きく寄与した個人、グループ、団体を顕彰するアワード。1955年に「毎日産業デザイン賞」として創設され、デザインの多様化を背景に76年に「毎日デザイン賞」と名称を変更。以来、日本のデザインの活性化とともに歩み続けてきた。
選考は、50名からなる調査委員から推薦を受けた候補作品を選考会で映像・文献資料を参考にしながら決定される。選考委員は大貫卓也(グラフィックデザイナー)、岡﨑乾二郎(造形作家・批評家)、岸 和郎(建築家)、深澤直人(プロダクトデザイナー)、面出 薫(照明デザイナー)の5名。
「2018毎日デザイン賞」は、グラフィックデザイナーの中村至男と山口信博+折形デザイン研究所の受賞が決定した。それぞれの選評は下記の通り。
中村至男 「『なるほど』の視点と表現」
■中村至男さんの選評
文章で伝わりにくいことを、図を用いて説明を行うことが図解です。図解によって見る人間は内容を理解しやすくなります。そんな「みること」によって「わかること」の喜びを提示し続けているのが中村至男のデザインだ。しかも、中村の視点はじつにユニークであり、平凡な日常のなかに多くの発見があることを教えてくれる。デザイナーとしての表層的な個性は一切排除しながら、視点ポイントだけを設定するその行為は孤高のデザイナーでありながら、小学校で初めて足し算を教えてくれた担任の先生のようだ。子供から大人まで「なるほど」と思わせる中村のデザインは極めて独創的である。
大貫卓也 アートディレクター
山口信博+折形デザイン研究所 「折りのデザイン」
■山口信博さんの選評
山口信博さんは精緻でこつこつと丹精込めて仕事に取り組んでおられるグラフィックデザイナーである。その作品からは静かな力が伝わってくる。その山口さんがライフワークとして取り組んでおられるのが「折形」の研究である。ご自身で2001年に折形デザイン研究所を設立し、紙を折ることによってできる形や、折るという行為に含まれる人の姿勢や精神、意味も含めて研究されてきた。伝統的な「折形」をモダンデザインの観点から捉えなおし、現代の暮らしへ取り入れることを目指し、展覧会、ワークショップ、教室の開催、本の出版、手すき和紙の職人とのコラボレーションによるオリジナル商品の開発などの活動をされている。
紙にも折りにも彼のデザインのような静かな力がこもっている。つつむ、むすぶ、おくる、という暮らしの中に息づく習慣の美学に目を向け、こころの美学をデザインとして発信し続ける山口さんの活動を毎日デザイン賞はたたえたい。彼が向ける美しい伝統へのまなざしとデザインの精神は我々が見失ってはいけない暮らしの質の追求であり、これからも継がれていかなければならない貴重な活動である。
深澤直人 プロダクトデザイナー
中村氏、山口氏の展覧会が開催中
現在、受賞した中村氏と山口氏がそれぞれ都内にて展覧会を開催中。ぜひこの機会に足を運び、両名の作品を見て、感じてみるのはいかがだろう。
中村至男のART BOOK展
- 会期
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2019年3月22日(金)−4月13日(土)
12:00 − 19:00
※日曜・月曜日は定休日 - 会場
- Books and Modern+Blue Sheep gallery
(東京都港区赤坂9-5-26 パレ乃木坂201) - 詳細
- https://booksandmodern.com/gallery/1147/
- 会期
- 2019年3月21日(木・祝)-31日(日)
13:00-19:00 ※会期中無休 - 会場
- gallery care of
(東京都港区南青山4-17-1) - 詳細
- http://origata.com/activity/exhibition_000545.php