がん遺伝子「Myc」の活動を抑えられる!?
MIT研究チームが効果的な化合物を発見

▲Image: Courtesy of the researchers, edited by MIT News

もっとも一般的ながん遺伝子のひとつは「Myc」と呼ばれるものだそうだ。これは、薬で標的化することがもっとも難しい細胞のひとつで、科学者たちは長い間、このMycタンパク質をブロックする薬の開発を行ってきた。しかし、今のところ成功していないという。

この場合、Mycはほかの遺伝子の基本的な機能に影響を与え、細胞を異常増殖させることから、がんが発生するそうだ。そこでマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、別のアプローチを使って、こうしたMycの活動を抑えられる化合物を発見したと発表した。

研究チームは、開発した化合物が、特定のタイプのがんをもつマウスの腫瘍形成を抑制できることを発見。この化合物はMITから独立した組織が認可を受けており、人間の患者でテストができるより強力なものを開発しようと模索している。

Mycは通常、「Maxタンパク質」というパートナー(ヘテロ二量体)とひとつの構造を形成。この構造がDNAに結合して、遺伝子の転写を開始する。これまでは、MycとMaxタンパク質の相互作用を妨げる薬の開発を行ってきたが、うまくいかなかった。

これに対して、同チームでは別の戦略を採用。つまり、Maxタンパク質に対して相互作用する化合物があれば、がんにつながるMycの細胞増殖能力になんらかの影響を与えることができるのではないかと考えたのだ。

そこで、いくつかのがん細胞株でさまざまな化合物を試し、細胞増殖を停止させるのにもっとも効果的と思われるものを特定。まだまだ実験中のようだが、がんの進行を遅らせる可能性がある手法として、今後ますます注目を集めそうだ。End