NEWS | サイエンス
2019.03.18 13:16
欧州宇宙機関(ESA)が手がける世界初となる「エアブレシング(air-breathing)推進型ロケットエンジン」となる「SABRE」の開発が大きく前進しているようだ。
このSABREについては、イギリスの企業「リアクション・エンジンズ(Reaction Engines)」がバッキンガムシャー州ウェストコットに現在建設中の試験施設で地上試験を実施する予定。実用化に向けた大きな一歩として、今後18か月の試験期間が設けられるそうだ。
SABREはユニークな設計で、大気を吸い込みながら、最大マッハ5程度で宇宙空間へ上昇するロケットエンジン。高度約25 kmでは、軌道上への最終的な上昇に向けてロケットモードに切り替わる。
将来的には、航空機のように再利用可能な打ち上げロケットのベースとなりうるものだという。ロケット内への酸素供給量はそれほど多くなく、同じペイロードを軌道上に運ぶのでも現行の発射装置の規模の半分でよく、大幅なコスト削減やより高い発射速度が実現できる可能性があるとしている。
リアクション・エンジンズは、2016年10月に開発プログラムの重要な新しい要素をスタートさせ、SABERエンジンコアの設計、製造、および実証を行ってきた。このテスト要素は、完全なSABREエンジンの重要なモジュールであるエンジンコアで構成されていたが、冷却装置となるプレクーラーやロケットノズルは付けられてはいなかった。このエンジンコアの設計・開発が終われば、このロケットエンジンはいよいよ実用化に進むことになるだろう。