NEWS | サイエンス
2019.03.11 16:55
超音速の航空機を開発する場合に、問題のひとつとして挙げられるのが、超音速飛行を行ったときに発生する衝撃波が生み出す轟音=ソニックブーム(sonic boom)である。
このソニックブームの低減が求められるなか、NASAがこのたび成功したのは、飛行中の飛行機から高度な写真技術を使い、別の飛行中の超音速機2機からの衝撃波の相互作用を初めて撮影したことだ。
一連の飛行では、アップグレードされたイメージングシステムのテストを行い、航空機が音速よりも速い超音速で飛ぶときに生じる急激な圧力の変化である衝撃波を、高品質の画像で撮影した。航空機から発生した衝撃波は、大気中を移動する際に混じりあい、地上で聞こえるソニックブームの原因となっている。
研究者によると、2機の「T-38」のうち、後方の機体では衝撃波が相互作用して曲線を描いていることがわかるという。これは、後方の機体が前方の機体の後に続いて飛行しているためで、衝撃波の形が変わってしまったのだそうだ。
今回アップグレードしたシステムは、超音速飛行を研究するNASAの「X-59 Quiet SuperSonic Technology」実験機(Xプレーン)の設計を考える上で重要なデータを取得するために使用する予定。衝撃波が出ても、大音響のソニックブームではなく、静かなうなりだけが聞こえるようにするのが目標だ。
ソニックブームを出さずに超音速飛行ができれば、現在は制限されている陸上での超音速飛行が今後解除される可能性もあるという。