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2019.03.08 17:21
秋田県鹿角市にある「湯の駅おおゆ」は、2018年4月にオープンした道の駅だ。この地にある大湯温泉は約800年前から、温泉の効能と豊富な湯量で知られ、江戸時代には南部藩の保養温泉地に指定されていた。
その後、国立公園十和田湖の誕生により、十和田湖に一番近い温泉地となったが、近年は観光客や宿泊客の減少が続き、厳しい状況に置かれていたという。
そこで、地元では「湯けむりただよう交流市場」を基本コンセプトにした道の駅設立を計画。設計は隈研吾建築都市設計事務所で、大湯温泉のための、物販、カフェ、野外劇場、公園、足湯、ビオトープが一体となった地域交流施設ができあがった。
地域の伝統工芸として知られる「曲げわっぱ」にヒントを得て、リング状のLVL(単板積層材)を構造体として使用。このリングの集合した透明な構造壁は、パーティションとしても、棚としても機能する。これにより、木造の大屋根の下に、プログラムに応じて変化する流動的空間が生まれた。
先に挙げた基本コンセプトと、運営会社のコンセプト「縁が輪になる、大湯のえんがわ」を受けて、隈研吾は大湯地区の「地力」を人を引きつける「磁力」に変えた。人の繋がり=ご縁を滞留させることなく循環させていく(=輪にする)ことを目指したそうだ。