2019年度のプリツカー賞は磯崎新に決定
日本人としては8人目の受賞

「建築界のノーベル賞」と呼ばれるプリツカー賞の2019年度受賞者に、建築家 磯崎新が選ばれた。磯崎は日本人としては8人目の受賞者で、授賞式は2019年5月にフランスで開催。パリでの公開講演も行われる予定だ。

未来志向なアプローチを行う磯崎の先見性は、同世代の国際的な建築家からも高く評価されており、彼の空間芸術への深い関わり方と世界を股にかけたその方法論は、1960年代以来広く認めれてきた。

同賞は磯崎が、多作な建築家として東洋と西洋の対話を促し、建築を通じて世界に及ぼす影響を考え、建築界の若い世代の成長を支援してきたことを評価。世界各地の建築技術に精通し、場所と文脈の解釈を行い、細部に意図を表現するなど、その精確かつ巧みな作品は彼の活動を体現している。

▲大分県立図書館, photo courtesy of Yasuhiro Ishimoto

▲大分県立図書館, photo courtesy of Yasuhiro Ishimoto

選考委員からは、「彼は建築の歴史と理論に関する深い知識をもち、前衛性にあふれています。ありのままの状況を再現するのではなく、意味の深さを備えた建築への探求心は今日の建築にも活かされています。また、挑戦的なスタイルの持ち主でもあり、つねに進化し続け、そのアプローチはいつも新鮮です」と語っている。

また、「磯崎氏は、世界でも地域でも建築が必要とされており、こうした2つの力がひとつの課題になることを理解したという点で、先駆者といえるでしょう」と合衆国最高裁判所の陪席判事で、選考委員長のスティーブン・ブライヤー(Stephen Breyer)氏は述べている。「彼は長年にわたり、世界各地で建築を通じて、長い伝統があってもその伝統に縛られない表現を行い、伝統を広めながら同時に他の地域から学ぶことも試みてきたのです」。

同賞のサイトでは、過去の作品や、磯崎自身が活動の原点を語る動画も公開されているので、彼の業績を振りかえるまたとない機会となっている。End