NEWS | サイエンス
2019.03.05 14:23
火星は乾燥した惑星のように思われがちだが、その表面にはかつて大量の水が存在していたとする説の有力な痕跡があるそうだ。たとえば分岐した流路や谷間など、水がなければできないような地形などである。
2018年には、現在運用中の欧州宇宙機関の火星探査機「マーズ・エクスプレス(Mars Express)」が火星の南極の下に水たまりを検知した。地下深くで連結しあった湖群の存在を初めて地質学的に明らかにしており、そのうちの5つの湖には生命にとって重要なミネラルを含んでいると考えられている。
そして、このたび発表された新研究では、モデルによってのみ予測されていた火星の古い時代の地下水の範囲が明らかになった。
調査チームは、火星の北半球にある、底が「海面」よりも約4000m下にある深くくり抜かれた24個のクレーターを探査。そこには、水が存在することで形成されたはずの痕跡が見つかったそうだ。その痕跡もさまざまで、時間をかけて変化したり後退したりした水たまりや水の流れを示している。
こうした痕跡には、クレーターの壁に刻まれた流路、地下水が浸食した曲がった谷間、水位の上下によって形成されたと思しき曲がったデルタ、水が溜まってできたクレーターの壁の内側の畝のようなもの、水の流れによる沈殿物の扇状地もあったそうだ。
そこで見られる水位は、30億年前から40億年前にかけて火星に存在したと考えられている海の仮説の海岸線と一致しているという。火星にかつてあったと思われる海は、意外と大きかったのかもしれない。