トロント大学の新校舎「90 Queen’s Park」
歴史ある近隣の建築とのつながりを生み出すデザイン

カナダ・トロント大学の新校舎「90 Queen’s Park」は、歴史学、音楽学、法学、中近東文明論、イスラム研究、ユダヤ研究、および新しい都市研究所の拠点など、以前は別々にあった9つの学科をひとつにまとめる、都市と文化の中心地となるものだ。

設定はニューヨークの建築設計事務所 Diller Scofidio + Renfroで、キャンパスへの新しい玄関口となり、ロイヤルオンタリオ博物館や1960年代に建てられたEdward Johnson Building、1900年代からある2つの歴史的建造物のFlavelle HouseとFalconer Hallといった隣接する建物とのあいだのつながりを生み出すことを目指した。

この建築は、この敷地の制約と多様なユーザーに対して、二重のアイデンティティで応えようとしている。北側は学部事務室やワークスペースなどがあり、平坦でまとまりのあるブロックでビルの統一感を表現。一方、南側のファサードは、歴史あるFalconer Hallの印影を写したように削り取られた形になっており、各学科の独立性も確保されている。

建物の中心部には、ラウンジスペース、研究スペース、ミーティングルームなどを結ぶように、ダイナミックな中央アトリウムと階段を設置。この公共スペースは、分野間のアクセスや眺めを助長し、共同作業の文化を促進する場となるようだ。

▲「Atrium Stair」

▲「Recital Hall」

また、このえぐられた部分には、隣接の建物の上に浮かぶ250席のリサイタルホールと柔軟なイベントスペースがあり、訪問者はトロントのダウンタウンの景色を楽しむことができる。End