NEWS | サイエンス
2019.02.19 16:29
NASAの火星探査ローヴァー「オポチュニティ(Opportunity)」は、惑星探査のなかでもっとも成功し長期間継続できたもののひとつだが、約15年にわたる火星表面の調査とNASAの次なる火星探査の下地作りを行い、その活動を終えることになった。
2018年6月に火星で大規模な砂嵐が発生し、同機は地球との交信を停止しましまった。何度も交信再開の指示を出したが、同年6月10日の交信が最後となった。
当初の設定では、火星日でわずか90日、1,100ヤード(約1,000 m)の走行が可能だったが、耐久性、科学的な価値、寿命のいずれの面でも期待を大きく上回ったようだ。寿命は想定の60倍を超え、火星で到達すべき目的地「パーサヴィアランス谷(Perseverance Valley)」には、28マイル(約45km)以上も走行して到達に成功。
その他、火星での1日の走行記録721フィート(約220m)、15回の360度カラーパノラマを含む217,000点以上の画像を送信、52個の岩石から調査用に新しい鉱物の表面を取り出し、さらに72個のターゲットに対してブラシをかけて分光計と顕微鏡撮像装置での検査を準備した。
また、着陸地点では水中で生成する鉱物「赤鉄鉱」を発見し、地球上の池や湖の飲み水に近い、古い時代の水の流れを示す強い兆候もエンデバークレーターで発見した。
もちろん、火星探査はこれで終わらない。2018年11月26日に着陸したNASAの探査機「インサイト(InSight)」が科学的調査を始めたばかり。ローヴァー「キュリオシティ(Curiosity)」は6年以上もゲールクレーターを探索。そして、NASAのローヴァー「Mars 2020」と欧州宇宙機関のローヴァー「ExoMars(エクソマーズ)」はともに2020年7月打ち上げ予定で、火星で過去に存在した微生物の兆候を調べる初のミッションになるそうだ。