NEWS | サイエンス
2019.02.12 15:26
「地球上の生命体」について考えてみると、動物からバクテリアまで個々の種を思い浮かべるかもしれない。しかし、宇宙生物学者(astrobiologist)が考える生命体では、個々の有機体だけでなく、生態系や生物圏全体が考察の対象になるという。
これまでの研究では、主に個々の有機体や生態系における群集など、生物学のなかで組織化された特定レベルに焦点を当てていた。この場合、こうしたレベルから、個体が相互作用する分子で構成され、生態系が相互作用する個体で構成される、という具合にヒエラルキーができあがるのだ。
そこで、アリゾナ州立大学の多分野からなる研究チームが行ったのは、このヒエラルキー自体を分析するために、ヒエラルキーのなかの個々のレベルに着目することを超えて、生物圏全体に焦点を当てることだった。
「生物学を支配する一般原理を把握するためには、ある特定のレベル内ではなく、どのようにさまざまなレベルを超えて生物のシステムが組織化されるのかを把握しなければなりません」と、同研究の筆頭著者 Hyunju Kimは説明する。
同チームは注釈付け(アノテーション)した28,146のゲノムとメタゲノムのグローバルデータベースと、カタログ化された8,658の生化学反応を使って、生化学ネットワークを構築。そして、生物レベルでも生態系レベルでも、生化学は一般的な組織原理によって支配されていることを発見した。
こうした研究では、ひとつの惑星のプロセスとして地球規模で生化学の組織原理を解明して、地球外の生命体の存在を解明する手がかりとすることが期待されているのだそうだ。