NEWS | サイエンス
2019.02.08 18:27
スウェーデンのチャルマース工科大学の研究チームは、器用な動きができる義手を操作するための骨神経筋(osseo-neuromuscular)インプラントを開発している。
これは、チタン製インプラントを前腕を失った患者の2本の前腕骨(橈骨と尺骨)に埋め込み、そこから神経と筋肉につながる電極を伸ばして、ロボットの手を操作したり触覚を与えるための信号を得ようとするもの。臨床的に実現可能で、器用さと感覚を備えた、日常生活で使用できる初めて義手になるそうだ。
従来の義手は皮膚の上に電極を設置して、その下にある残された筋肉から制御信号を得ようとするものだった。この場合、電極が伝える信号には限度があり、手の開閉といった大まかな運動しかできなかったという。
これに対して、今回のように残された筋肉に電極を埋め込むことで、より信頼性の高い情報をより多く得られるとしている。初めての患者には16本の電極を埋め込み、イタリアで開発された新しい義手をより器用に操作することを目指している。
また、従来の義手では感覚のフィードバックも限られていた。ユーザーは物体をどれほど強く握っているのか、ものに触れているかどうかさえわからず、視覚で確認するしかなかった。そこで、電極を神経に埋め込むことで、研究者は生物の手が情報を伝えるのと同じ方法でこれらの神経を電気的に刺激でき、患者は新しい義手から伝わる感覚を知覚することができるようになるそうだ。