中国科学技術大学が開発する水素燃料電池
寒い冬の低温でも自動車で威力を発揮

▲Image by LU Junling’s research group

中国・安徽省に本部を置く中国科学技術大学(University of Science and Technology of China)では、とくに寒い冬の極端な低温において自動車で活用できる水素燃料電池の開発に取り組んでいる。

水素燃料電池自動車は、水素を燃料とすることで高いエネルギー変換効率とゼロエミッションを実現できるが、多くの課題にも直面している。

現在水素は主に、メタノールや天然ガスなどの炭化水素による水蒸気改質や、水性ガスシフト反応などのプロセスからできているが、この得られた水素には通常0.5~2%の微量の一酸化炭素が含まれているという。

▲Image by LU Junling’s research group

これが水素燃料電池自動車の心臓部である燃料電池電極を容易に汚染してしまい、その結果、電池の性能低下や寿命短縮につながって、自動車への水素燃料電池の利用を大きく妨げているのだ。

そこで、同大学の研究者チームが開発したのは、ナノ粒子のプラチナ上に水酸化鉄を原子が分散した状態で配置した構造で、198~380ケルビン(およそ華氏-103~-224度ないし摂氏-75~-107度)の広い温度範囲で効率的に水素燃料を精製できる。また、この素材は頻繁な低温時の始動および極端な低温時の連続運転で、燃料電池を一酸化炭素被毒から完全に保護できることがわかった。

同チームはこれにより、水素燃料電池自動車の普及が大幅に加速するかもしれないとしている。End