アイルランド南部のキルケニー（Kilkenny）は、中世の建築物が多いことで知られる都市だ。このたびこの地にあるSt. Mary’s Churchが改装され、博物館「Medieval Mile Museum」としてオープンした。

この建築は同地の「Medieval Mile」トレイルの出発点となるもので、この街の市民の宝を保管しており、中世から20世紀までの⽯灰岩の彫刻された墓や葬儀の記念碑を数多く展⽰している。

設計を手がけたのは、ダブリンに拠点を置く建築設計事務所 McCullough Mulvin Architects。もともとは13世紀の建物で、人工物を管理し展示するにはいくつかの拡張が必要となった。それゆえこのプロジェクトは、考古学的手法を用いながら建築ソリューションを決定する実験になったという。

新たな要素としては⽊材と鉛を活用している。鉛の柔らかな順応性は、アイルランドの灰⾊の⽯と空を引き立てている。建築物の特性に合わせながら、床を新しい⽯造りで仕上げ、材料を修復し、もとの中世の木製屋根の⼤部分を露出させたままにした。

教会の内陣は歴史を経て縮⼩されており、⾝廊にはもともと通路があったそうで、考古学的調査から地中にある基礎が発掘された。新しい構造物をこの上に築くことで、建物の空間の複雑さを増幅させ、内部空間のシーケンスを発展させている。