米研究者チームが開発する「Metallic Wood」
チタンと同程度の強度で4~5倍の軽さの新素材

ペンシルベニア大学工学応用科学大学院などの研究者チームは、新しい素材「Metallic Wood」の開発に取り組んでいる。

高性能のゴルフクラブや飛行機の翼の素材となるチタンは、鋼鉄と同じくらいの強度で約2倍の軽さがある。これに対し、チタンと同じぐらいの強度を有し、なおかつ4~5倍の軽さを実現した、ナノスケールの孔のあるニッケルシートを作成したという。

▲白で示したプラスチックの球体が青で示したニッケルにフレーム構造を提供。このプラスチックを取り除いた部分に他の機能をもつコーティングをくわえることができる。

孔の空いた部分や、これが作られる自己組織化プロセスにより、この多孔質の金属は木材などの天然材料にも似た特徴を備えることになる。

木目の多孔性がエネルギーを送るという生物学的機能をもつように、同チームはMetallic Woodの空いた部分に他の素材を注入することも可能だとしている。アノード素材やカソード素材を使った足場材料を注入することで、バッテリーにもなる飛行機の翼や義足といった、二重の役割を果たすことができるそうだ。

また、この素材の約70%が空間なので、このニッケルベースの金属木材の密度はその強度に比して極端に低くなる。水と同じぐらいの密度で、この素材でできたレンガは水に浮かぶとされる。

同チームの次の課題は、この生産プロセスを商業ベースの規模で実現すること。チタンとは異なり、希少でも高価でもないがナノスケールでの製作に必要なインフラはほとんどなく、迅速かつ安価で大量に生産できるインフラの開発が待たれている。End