NEWS | アート
2019.01.22 15:49
<この30年…… 外套のことだけ考えてきた>
ユーリー・ノルシュテインが挑む、ゴーゴリの名作―小説「外套」
ドキュメンタリー映画「ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる」が、3月下旬から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。
ロシアを代表するア映像作家ユーリー・ノルシュテイン。「話の話」「霧の中のハリネズミ」など数々の名作を生み出し、手塚治虫、宮崎駿、高畑勲監督ら日本の巨匠をはじめ世界中のアニメーション作家たちからも敬愛されている人物だ。
彼は30年以上の歳月をかけて、ロシアの文豪ゴーゴリの名作「外套」のアニメーション作品を制作しているが、未だ完成に至っていない。それどころか、近年は撮影が止まっているという。2016年6月、カメラはモスクワにあるノルシュテイン・スタジオ“アルテ”に向かう。そこにはおびただしい数のスケッチ、キャラクターパーツ、埃をかぶった撮影台が……。
ゴーゴリの小説「外套」は帝政ロシア時代のサンクト・ペテルブルグが舞台の物語。真面目で貧しい下級役人アカーキー・アカーキエヴィッチは、生活を切り詰めて貯めたお金で念願の新しい《外套》を手に入れた。しかしある夜、追剝ぎに新しい《外套》を盗まれてしまう。失意のうちに死んだ彼は幽霊となり、夜な夜な盗まれた《外套》を捜しに現れる――。
世界が待望する「外套」はいつ完成するのか、なぜ「外套」なのか。未完の映像を織り交ぜながら、ノルシュテインが自身の心の内を語る。監督はノルシュテインと古くから交流を持つ才谷遼(「セシウムと少女」(14))。編集に「おくりびと」で日本アカデミー賞を受賞した川島章正、撮影に加藤雄大を迎え、アニメーションの“神様”に対峙する。
なお本作の公開にあわせて、各地で連日大好評を博した「ユーリー・ノルシュテイン監督特集上映~アニメーションの神様、その美しき世界~」の同時再上映も決定している。2017年に続き、ノルシュテインの作品に劇場で出会えるこの機会を見逃さないでほしい。
「ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる」
3月下旬よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
- 監督・出演
- 才谷 遼
- 出演
- ユーリー・ノルシュテイン、ラリーサ・ゼネーヴィチ、マクシム・グラニク、 ターニャ・ウスヴァイスカヤ
- 構成・編集
- 川島章正
- 撮影
- 加藤雄大
- 楽曲演奏
- ボリス・ベレゾフスキー
- 通訳・字幕翻訳
- 児島宏子
- 助成
- 文化庁文化芸術振興費補助金
- 配給
- ラピュタ
- 配給協力
- ノーム
- 公式サイト
- http://making-overcoat.com/