NEWS | サイエンス
2019.01.22 13:35
美しい円形で知られる土星の環だが、一体いつ頃できたのだろうか。2017年に運用を終えたNASAの土星探査機「カッシーニ(Cassini)」の最後となる重力データの新しい分析によると、環は土星自体よりもずっと後に形成された可能性があるという。
土星は太陽系の初期の頃、45億年前にできたとされる。そしてこの分析結果から、土星の環が1000万年から1億年前に形成されたことがわかった。地球に置き換えると、恐竜の時代にこの環ができたことになる。
環の年代を把握するために、研究者たちは1980年代初頭にカッシーニとNASAの惑星探査機ボイジャーからリモートセンシング測定を実施。ボイジャーは燃料切れとなったが、カッシーニは土星と環の間を22回通過したそうだ。
また、この新しい発見から土星の回転速度も正確に測定できた。研究者たちは土星の内部振動から土星の環のなかに作り出される波のパターンを分析。環は惑星内部の振動に反応するので、それ自体が非常に敏感な地震計として機能するとしている。
カリフォルニア大学サンタクルーズ校で天文物理学を専攻する大学院生 Christopher Mankovichの説明によると、土星の自転は10時間33分38秒だそうで、ボイジャーとカッシーニからの放射測定にもとづく以前の計算よりも数分短いとのこと。
土星は巨大なガスの惑星で、回転に合わせて追跡できる地点となるような地表面がない。それゆえ土星の環がこうした分析で重要になるのである。