ここ数年のプロダクトは低価格でも機能や品質がある一定のレベルまで向上し、市場における差別化が難しくなっており、デザインで差別化を図る製品が増えてきています。「色」は目からインプットする情報の80%を占めると言われており、製品の印象を大きく左右する要因です。今回は「色」の心理的な効果を上手く利用したプロダクトに注目してみました。
ひとつの製品で豊富なカラーバリエーションを設定し、楽しさを表現していた時代がありましたが、最近は「意外性」と「成り行きの変化」を楽しむという動向があるように感じます。「色」にはそれぞれイメージがあり、商品を選ぶ際に無意識的に商品のキャラクターと色のイメージが合っているものに安心感を覚えますが、この当たり前を逆手にとった透明飲料のバリエーションが増えてきました。
フレーバーウォーターに始まり、コーヒー、紅茶、コーラ、ビールまでが透明化。無色透明に感じる健康的で清らかなイメージに加えて、「え?!」と驚く意外性に興味をそそられます。
変化を楽しむという点では、使う人によって色が変わるリップのバリエ―ションが増えてきていることが気になります。2014年頃から登場した色変化リップは使用する人の体温、水分量などによって表れる色が異なるアイテム。使うシーンや時間の経過でどんな発色をするのか定まっていないという面白さ、自分自身とつくり出すオリジナルカラーという特別感がユーザーを惹きつける魅力なのでしょう。
また、スマートフォンではブルーとパープルの異なる色相が境界なく混じり合いながら深みを感じさせる3Dグラデーションを楽しむカラーデザインが登場しています。このようなマルチカラーに表現される流動性や多様性をイメージしたカラーデザインは人の暮らしや価値観の変化を反映していると感じます。
カラーには購買欲を左右するだけでなく、驚いたりワクワクしたり、日常のなかで人の想いや記憶を彩る力があります。今後もD-LOGは人の気持ちに寄り添って感情に響くカラーをデザインしていきたいと思います。