クリスマスツリーはエコなのか?
有用な化学物質を松葉から抽出する研究結果が発表

▲Photo by Irina Iriser from Pexels

シェフィールド大学で化学・生物工学科を専攻する博士課程の学生Cynthia Karteyは、処理過程で松葉から抽出した化学物質で役に立つ製品を製造できることを発見した。

クリスマスツリーには何十万本もの松葉があるが、他の木の葉と比べて分解に時間がかかるという。また、腐ると大量の温室効果ガスを排出し、イギリスでは二酸化炭素排出量の一因となっているそうだ。

松葉の主成分(最大85%)は、リグノセルロース(lignocellulose)と呼ばれる複合高分子。この高分子の複合性により、バイオマスエネルギー製品として松葉を利用することは難しく、ほとんどの工業プロセスでは無用なものとされている。

これを、安価で環境に優しいグリセロールのような溶媒と熱を用いて、松葉の化学構造を液体製品(バイオオイル)と固体副産物(バイオ炭)に分解。

Kartey氏は「私の研究は、この複雑な構造を糖やフェノールなどの単純で価値の高い工業用化学原料に分解することがねらいで、家庭用洗剤や洗口剤などの製品に使用できます」と述べている。「バイオリファイナリーでは、松葉を分解するという比較的単純だがこれまで行われてこなかったプロセスを実現できる」とのこと。

イギリスでは毎年800万本もの天然のクリスマスツリーを使用しており、約700万本は破棄され、埋められてしまう。クリスマスの後に松葉を回収し、このような処理が行われれば、現在産業界で使用されている持続可能性がより低い化学物質に取って代わることができるかもしれない。End