NEWS | サイエンス
2019.01.08 14:50
オレゴン州立大学とユタ州立大学の科学者たちは、樹木の年輪分析から、防火対策を行うことで森林が密集化し、乾燥や害虫、山火事に対する樹木の耐性が弱まるという研究結果を発表した。
同チームは、オレゴン州中央部で2,800ヘクタールの針葉樹の混合林を調査。調査地域にあるポンデローサマツは、山火事の鎮火が連邦政府の政策となった1910年以前からある樹齢数百年のものである。
過去1世紀の間に木立が密集するにつれて、次第に木々は光合成により重い炭素安定同位体を使うことを余儀なくされるそうで、ガスの葉への輸送が抑えられて、乾燥ストレスが高まることがわかった。
また、大気中のCO2は産業革命期が始まって以来40パーセントも増加したが、こうしたCO2濃度の上昇によっても、木々は火災が抑制されることで密集した森林の影響を克服できないことが同研究で発表された。
年輪の大きさの変化は、成長が起きた時点の温度と降水量を反映しているが、光合成に好ましい軽い炭素12同位体が使われたのか、あるいは重い炭素13同位体を使わざるを得なかったのかもわかるそうだ。
木立密度の減少を目指す政策や管理へと大きく舵を切らなければ、オレゴン中央部の多くの森林は限界を超えて、乾燥への抵抗力をさらに弱め、山火事に対する回復力がいっそう弱まるだろうと予想している。