火星探査機「マーズ・エクスプレス」が発見
氷に覆われたクレーター画像が公開

欧州宇宙機関(ESA)の火星探査ミッションで2003年6月2日に打ち上げられた火星探査機「マーズ・エクスプレス」は、約6ヶ月後に火星に到達し、現在まで火星軌道上で探査を続けている。

このたびESAは、マーズ・エクスプレスの高解像度ステレオカメラで撮影したクレーター「Korolev」の画像を公開した。これは異なる軌道上から撮影された5つの異なる画像の断片を組み合わせて1枚の画像にしたものという。

Korolevは直径82km、火星北部の低地、砂丘でできた地形の広い地域のすぐ南に位置し、オリンピア砂丘として知られる北極冠の一部を丸く囲んでいる。良い状態を維持した火星クレーターの典型で、雪ではなく氷で覆われており、その中心には厚さ約1.8kmの氷塊が一年中見られるそうだ。

▲© NASA MGS MOLA Science Team

この凍ったままの氷は、「コールドトラップ(cold trap)」と呼ばれる興味深い現象によるもの。クレーターの底は深く、垂直約2kmの縁の下に横たわっている。

Korolevのかなり深い場所には氷があり、天然のコールドトラップが生じる。つまり、氷の堆積物上を移動する大気が冷却されて沈み、氷の真上に冷たい大気の層ができるのだ。

この層は遮蔽物のようになることで氷が安定した状態に保ち、熱の上昇や消滅を防いでくれる。大気が熱を伝えるのはわずかで、この効果が強まることで、クレーターを凍らせているようだ。End