サンゲツ・品川ショールーム
フォントはブランディングであり、サービスのひとつでもある

サンゲツは、ファブリック、壁装材、床材など、インテリアにまつわる商品を総合的に扱う専門商社である。全国9拠点に展開するショールームのうち、品川ショールームをフラッグシップと位置づけ、約1,200平米のフロアに約1万3,000点の商品見本を展示するほか、最新の設備でコンシューマからプロ向けまで、さまざまな情報発信に努めている。このショールームで、商品のキャプションや配布物などに使用されているのがAXISフォントだ。2016年に刷新された同社のCIをもとに、新しいロゴマークやステートメントに寄り添いながら、的確に情報を伝えていくフォントとして選んだという。

さまざまな来場者にとっての「マテリアル・クローゼット」

――サンゲツ・品川ショールームの特徴を教えてください。

▲沖津礼子氏(株式会社サンゲツインテリア事業本部 プロモーション課 担当課長)

沖津礼子(株式会社サンゲツインテリア事業本部 プロモーション課 担当課長) 品川ショールームは、2015年に六本木から移転オープンしました。翌16年に会社全体のブランディングを改定するのですが、それを見据えた新しいショールームということで、これまでのサンゲツのシックなイメージから、明るくスタイリッシュなイメージへとリニューアルしました。サンゲツは工場を持たないファブレスメーカーですが、社内にはたくさんのデザイナーがいて、商品のデザインに力を入れています。海外から輸入している製品もありますが、9割は自社のデザインです。このショールームの商品展示では、サンゲツのデザイン性の高さや魅力を伝えると同時に、お客様がさまざまなバリエーションを検討し、体験できる場にしたいと考えました。具体的には、「マテリアル・クローゼット」というコンセプトを掲げています。壁紙、床材、床材などのサンプルや資料を豊富にそろえ、コーディネートしやすい空間や仕組みを整えました。

▲カーテンサンプルについたタグ。限られた大きさにサイズ、価格などの情報を小さな文字でも読みやすく示している。

――ショールームの来場者はどういった人たちでしょうか。

沖津 これから新しく住宅などを建てられる方が多いのですが、店舗や病院などのオーナー様が設計士の方と一緒にここで打ち合わせをされます。あるいは建築家やインテリアデザイナーの方々が商品を選びにいらっしゃるなど、プロの方にも多くご来場いただいています。

――見本の展示にはどんな工夫がありますか。

▲熊坂 南氏(株式会社サンゲツ東京支社 ショールーム課)

熊坂 南(株式会社サンゲツ東京支社 ショールーム課) 品川ショールームでは、壁紙約4,000点、床材約3,000点を含めると、約1万3,000点の商品を展示しています。例えば、壁紙の見本は2枚1組になっていて、1枚は棚に固定され、1枚は取り出せるようになっています。2枚合わせれば、より広い面でデザインを確認できますし、取り外して別の壁紙や、照明や床材などと組み合わせて見比べることもできます。フロアにはスタイリングテーブルという打ち合わせテーブルを設けていて、そこに壁紙や床材を立てかけて、コーディネートを検討することができます。

▲品川ショールームのために開発されたスタイリングテーブル。壁紙は立てかけて、床材は水平面に置いて検討できる。

――壁紙や床材をコーディネートしたモデルの展示もあります。

熊坂 メインとなる4つのモデルブースに、壁付けの展示も含めると、5つの展示スペースがあります。各モデルブースにはそれぞれテーマを設けて、インテリアスタイリストの方々にトレンドをおさえたコーディネートをしてもらっています。例えば、このブースは「ボタニカル・リビング」というテーマで、スタイリストの黒田美津子さんがサンルーム、ダイニング、水まわりの部屋を再現しました。ひとつの世界観のなかで、壁紙と床材、ファブリックなどの組み合わせや施工例をイメージしやすいと、来場者にも好評です。

▲モデル展示のひとつ「ボタニカル・リビング」。青みのあるグリーンは近年人気のトレンドカラーで、壁紙に採用する人も多いとのこと。

――プロ向けのコーナーも充実していますね。

沖津 店舗やホテル、病院といった大型施設のプロジェクトに携わる設計者の方々も多くいらっしゃいます。ガラス面や金属面に貼るための機能性フィルムや化粧フィルム、飲食店や病院に向けた高機能の床材など、最先端の素材技術を体感できるスペースもあります。また、照明の色温度によって壁紙などの見え方を確かめるブースや、施工事例をまとめたデジタルライブラリなどをご提供するなど、プロ向けの情報発信にも力を入れています。

▲普通のビニル壁紙と汚れ防止の機能性壁紙を比べる。ショールーム内にはこうした実験コーナーがいくつも用意されている。

▲プロ向けに、飲食店や福祉施設の内装材を数多く展示。

会社のブランディングに合わせてAXISフォントを採用

――ショールームのなかでAXISフォントを使っているとのことです。

沖津 AXISフォントは、ショールームを品川に移転してから使用しています。基本的に什器などに貼ってある商品情報や品番のキャプションと、ここで配布しているキャンペーンのお知らせ、注意事項、予約票など、お客様の手元に届くものはすべてAXISフォントを使っています。

▲床材の什器は引き出し式。什器に貼られている商品名もAXISフォント。

▲窓際のカーテンコーナー。大きな窓の自然光の中で見え方を確認できる。カーテンの品番にもAXISフォントを採用。

――採用のきっかけは?

沖津 実は、ショールームを品川に移転するプロジェクトは、サンゲツのブランディングを刷新するという大きな動きのなかのひとつの取り組みでした。2016年2月に「Joy of design」というステートメントをもとに、サンゲツのロゴを含むCIを改定した際、これを担当したブランドコンサルティング会社(AXHUM Consulting)から、推奨書体としてAXISフォントを紹介していただいたのです。
 私たちは、主にB to B向けのビジネスを展開していますが、ショールームに限ってはC(コンシューマ)のお客様が多く訪れます。色々なお客様に見ていただくことを考えたとき、視認性が高く、品番などの情報をわかりやすく伝え、かつサンゲツの新しいロゴにも親和性のある書体として、できるだけAXISフォントを使っていこう、ということになりました。

▲サンゲツの新ロゴ。「サンゲツの歴史と伝統、理念を発展的に継承しながら、新たな領域にチャレンジする姿勢を表すロゴマーク。空間を創りだす人々へよろこびとインスピレーションを与える「光」となるサンゲツのあり方を、みずみずしく、鮮やかなカラーとのびやかに拡がる形状で表現。」(サンゲツのステートメントより)

――それまで、フォントはどうしていたのでしょうか。

沖津 以前はガイドラインがなく、さまざまなフォントを自由に使っていました。その都度対応していて、正直、統一するという意識はあまりありませんでした。今は、プロモーションにかかわる部分は基本的にAXISフォントを使うようになったので、ショールームだけでなく雑誌広告などにも活用しています。

――ショールームのキャプションなどは誰がデザインしているのでしょう。

沖津 私が所属しているプロモーション課です。基本的には商品の販売促進に関わる部署で、例えば、各事業部がつくった見本帳が発売になるタイミングに、販促ツールの制作などを行っています。ショールームについては、熊坂が所属しているショールーム課が運営を担当しますが、プロモーション課がショールーム全体のデザインやマナーの統一を管理したり、そこで置かれるリーフレットなども制作しています。

――AXISフォントの感想を聞かせてください。

熊坂 ショールームを運営している側からすると、何よりも視認性が高いということ。また以前のショールームで使っていた白地に普通のゴシック体のキャプションよりも、グレーベースに細いAXISフォントのほうがスタイリッシュですよね。オシャレな感じやかっこよさというのは、お客様に働きかけるのに重要なポイントです。

沖津 素敵だなと思う場所で商品を選んでいただいたほうが、よりご満足いただける。フォントも、ある意味サービスのひとつではないかと思います。

――今後の展望を教えてください。

沖津 交流の場として機能するような、より多くのお客様に活用いただけるショールームでありたいと思っています。特に品川ショールームはフラッグシップとして最新のシステムを整えています。サンゲツの情報発信の場として、インテリア業界全体を活性化できるような、また常に新しい情報を得られ、体感できる場としてのショールームを目指していきます。

――ありがとうございました。End
Photos by Kaori Nishida

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