グレートバリアリーフのサンゴ修復に新たな方法
海中ロボットで幼生サンゴを直接散布

オーストラリア・クイーンズランド工科大学(Queensland University of Technology)の研究者は、世界で初めて海中ロボットを使った幼生サンゴの散布に成功した。

これは、テクノロジーを用いて熱や白化に強い幼生サンゴを直接グレートバリアリーフに散布し、サンゴ礁の修復や再生を支援する試みだ。

同大学のMatthew Dunbabin教授とサザンクロス大学のPeter Harrisonは、グレートバリアリーフ財団のイノベーションチャレンジで30万ドルを獲得。それから6週間を経て、クイーンズランド州北部ケアンズ近郊のVlasoff Reefでの画期的な構想に挑戦した。

Dunbabin氏は、Harrison氏が率いるサンゴ礁保護プロジェクトのために「LarvalBot」なる幼生散布ロボットと、幼生サンゴの天敵・オニヒトデから身を守る装置「RangerBot」を開発。

「今年は私たちの幼生修復研究にとって大きな一歩となりました。まず、大きな装置で浮遊したサンゴの卵を大量に集め、それを特別に作ったプールに入れて損傷したサンゴ礁地域に設置し、小さな幼生サンゴになるまでそこで飼育するのです」とHarrison氏は説明する。

また、「iPadでミッションを設定しておくと、信号が送信されて幼生を運び、LarvalBotが静かに押し出してくれるのです。いわば芝生に肥料をまくようなものです」とDunbabin氏は語る。「非常にスマートなロボットなので、新しいコロニーの形成や新しいサンゴ群の発達できるような、幼生を散布するのに適した場所を探して海中を動いてくれるのです」。

温暖化に伴う海水温と酸性度の上昇によりサンゴ礁の白化現象が著しく、死滅が不安視されているグレートバリアリーフ。問題解決への大きな一歩になることを期待したい。End