グリーンランドの氷はどれだけ溶けたのか?
ウッズホール海洋研究所が調査結果を発表

グリーンランドの分厚い氷床全体で溶融した表面は、19世紀半ばに増加し始め、20世紀全体と21世紀初頭を通じて劇的に拡大し、弱まる兆候は見られないという研究結果ウッズホール海洋研究所が発表した。

研究チームは、海抜6,000フィート以上の地点で氷床と付近にある沿岸の氷帽から、サンプルとなる「氷床コア」を抽出し、過去数百年にグリーンランドの氷がどれだけ溶けたかを調査。

融解がもっとも激しい低高度では、雪解け水が氷床から流れ出て海面上昇を引き起こすが、溶融物の記録は残らない。しかし、高高度の地点では、夏の雪解け水は、下に張った残雪との接触からすぐに再氷結。これにより、水が氷床から流出せず、時間の経過とともに固くなった氷の層に、積み重なった独特な氷の帯が形成されるそうだ。

こうした氷床コアの分析結果と、衛星や高度な気候モデルからの観測結果を組み合わせ、観測された年間溶融層の厚さから、コア採取地点でどの程度の溶融が起こったか、さらにはグリーンランド全体ではどうだったか、正確に突き止めることに成功。この解明により、海面上昇を引き起こす低高度の氷床の端での雪解け水の流出の仕組みが確認できたそうだ。

長い歴史で見れば、過去数十年間に観測された急速な融解は非常に珍しい現象であるとのこと。暖かい夏によるグリーンランド氷床の融解が「前例のない速度」で続く場合、このハイペースな海面上昇がさらに加速する可能性があると示唆している。 End