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2018.11.30 17:23
スウェーデンのチャルマース工科大学(Chalmers University of Technology)のMax Ortiz Catalan准教授が率いる研究グループは、新しい人工関節についての研究を、神経系とリハビリテーション工学の専門雑誌「journal IEEE Transactions」に発表した。
この人工関節は、前腕を失った人にとっては大切な手首の動きを復元するもの。これにより生活の質を劇的に改善させることも可能だとしている。
手を失った患者は、手首の回転、もしくは「回内」や「回外」と呼ばれる運動機能を取り戻したいという。たとえばテーブルに手をつく場合、手のひらが下に向くように腕を回すと「回内」、そして今度は手首を180度返して手のひらが上になるように腕を回転させると「回外」となる。
私たちにとってはなにげないことだが、実は日々の生活で不可欠な動作なのだ。ドアハンドル、ドライバー、コンロのつまみをひねること、あるいは紙を裏返すことを考えてみよう。手を失った人にはこれほどやりづらく不快な作業はなく、現在の人工補綴技術でもこの問題の解決には至っていない。
新しい人工関節は、プロジェクト・パートナーのIntegrum ABが開発したオッセオインテグレーテッド(骨と密着した結合状態)インプラントシステムを使用。2本のインプラントをそれぞれ前腕部にある尺骨と橈骨に埋め込み、手首のような人工関節がインプラントと義手の間のインターフェイスとして機能する。これにより、すばやく無理のないコントロールと感覚フィードバックなどの、より自然な動きが可能になるそうだ。