ルーヴル美術館のピラミッド内に浮遊する玉座
アーティスト・名和晃平の新作「THRONE」

現在フランス・パリにて展開中の「ジャポニスム 2018:響きあう魂」。この公式企画の一環として、フランス・パリのルーヴル美術館にあるガラスのピラミッド内に、アーティスト・名和晃平氏による新作の彫刻作品「THRONE」が展示されている。

ルーヴル美術館のセキュリティーゲートを担うガラスのピラミッド。館内に入場するためには誰もが通過するこの位置に展示されている本作品は、「浮遊する空位の玉座」として表現されたものだ。

創作の背景には、コンピューターの加速度的進化や人工知能などの存在がわれわれの生活に大きな影響を与えるようになるのではないかという名和氏自身の”予感”があったようだ。

▲玉座の上部中央にある球体はプラチナ製だ。

▲複雑な造形なため、分かりにくいが、実際に座面もデザインされている。ただ、その大きさはとても小さく、幼児が座れるかどうかくらいの大きさだ。権力の象徴でもあるピラミッド。座面の大きさからわかるように、童心を大切にしてほしいという思いが込められている。

作品の制作にあたり、名和氏は東洋の神事や祭事に登場する「山車」の形態やそのルーツを考察。紀元前のエジプトで始まったと言われる金箔貼りの技術と最新の3D造形システムを融合させた。また、表面を飾る金箔には約4万枚もの量を使用しているそうだ。

素材はFRPをベースにしており、ボディーは全24パーツで構成され、分解できるようになっており、総重量は3トン。全長は10.4m、横幅4.8mもある巨大な玉座だ。

作品のサイズが大型なだけに、設営にも非常に繊細な作業が必要となったようで、閉館日の火曜日の前日の月曜日の夜から休み明けの開館日となる水曜日の朝6時まで。計38時間も設営に費やしたとのこと。

展示期間は、2019年1月14日(月)まで。権力や権威が遺してきたものは何なのか。不透明な未来を金色に照らすのはひとりひとりの姿勢にかかっているのかもしれない。End