2018年度グッドデザイン大賞
貧困問題解決に向けたお寺の活動「おてらおやつクラブ」に決定

公益財団法人日本デザイン振興会は2018年度グッドデザイン賞の「大賞」、「金賞」、「グッドフォーカス賞」の受賞結果を10月31日(水)に発表した。2018年を象徴するデザインである「グッドデザイン大賞」は、大賞候補であるファイナリスト6件に対して、本年度グッドデザイン賞審査委員とグッドデザイン賞受賞者、受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2018」の来場者による投票を実施。最多票数を得た「おてらおやつクラブ」に決定した。

「おてらおやつクラブ」はお寺にお供えされるさまざまな「おそなえ」を、仏さまからの「おさがり」として頂戴し、子どもをサポートする支援団体の協力の下、経済的に困難な状況にあるご家庭へ「おすそわけ」する活動だ。活動趣旨に賛同する全国932寺院、377団体(2018年9月時点)と、子どもやひとり親家庭などを支援する各地域の団体をつなげ、お菓子や果物、食品や日用品を届けている。

▲大賞を受賞した「おてらおやつクラブ」代表の松島靖朗さんは「日本国内において子どもの7人に1人が貧困状態にあり、一日一食の食事に困る子どもたちが増えています。おてらおやつクラブが日本で現実に起こっている貧困問題を知るきっかけになれば」と想いを語った。

今年の審査会では「美しさ」をキーワードに「美しいとは何だろうというところから協議が重ねられた」と話したのは柴田文江審査委員長。従来、寺院が地域社会で行ってきた営みを現代的な仕組みとしてデザインし直し、寺院の「ある」と社会の「ない」を無理なくつなげる優れた取り組みである「おてらおやつクラブ」は、既存の組織・人・もの・習慣をつなぎ直すだけで機能する仕組みの美しさが高く評価された。

グッドフォーカス賞 地域社会デザイン

地域社会の持続的発展や経済の活性化に特に寄与するデザインに送られる同賞では、「AXIS」195号のINSIGHTに掲載された「喫茶ランドリー」ほか2件が受賞した。

▲喫茶店「喫茶ランドリー」株式会社グランドレベル(東京都)+株式会社ブルースタジオ(東京都)+石井大吾
デザイン室一級建築士事務所(千葉県)

ファイナリストとなったグッドデザイン賞 金賞

本年度の全受賞デザインのなかで総合的に特に優れたデザイン19件が金賞として選出され、そのうち大賞受賞デザインを除く以下の5件が大賞候補のファイナリストとして選出された。

▲エンタテインメントロボット「aibo」ソニー株式会社(東京都)

▲Gogoro Energy and Transportation Platform 「Gogoro Energy Network (GoStation/ Gogoro SmartBatteries/
Gogoro Control Center) + Gogoro Smartscooter (Gogoro 1 & 2 Series/ Gogoro App/ iQ System) 」Gogoro
Inc.(Taiwan)

▲ポータブルX線撮影装置「FUJIFILM CALNEO Xair」富士フイルム株式会社(東京都)

▲宿泊施設「hanare」株式会社HAGI STUDIO(東京都)

▲駅前広場と道路空間からなる景観「丸の内駅前広場から行幸通りに繋がる景観」東日本旅客鉄道株式会社
(東京都)+東京都(東京都)

そのほか金賞や特別賞の詳細に関しては公式サイトをチェックしてみてほしい。End