「霧のアーティスト」として世界に知られる彫刻家・中谷芙二子
第30回高松宮殿下記念世界文化賞の彫刻部門を受賞

▲《ロンドン・フォグ》2017年 テート・モダン
London Fog, 2017
“BMW Tate Live Exhibition: Ten Days Six Nights,’” Tate Modern, London
Dance; Min Tanaka
Light: Shiro Takatani
Courtesy of Fujiko Nakaya
Photo: Sayaka Shimada

「霧のアーティスト」として世界に知られる彫刻家・中谷芙二子が、第30回高松宮殿下記念世界文化賞の彫刻部門を受賞。その受賞式典が東京・元赤坂の明治記念館にて行われた。

中谷氏はアメリカ・ノースウェスタン大学美術科を卒業後、初期の絵画制作を経て、芸術と技術の協働を推進する実験グループ「E. A. T.」に参加。その活動の一環として、1970年の大阪万博ペプシ館で、初めての人工霧による「霧の彫刻」を発表。

▲大阪万博のペプシ館 1970年 大阪(Pepsi Pavilion, EXPO ’70 Osaka)、Courtesy of Fujiko Nakaya、Photo: Fujiko Nakaya

▲《氷河の滝-グリーンランド》2017-18年 銀座メゾンエルメスフォーラム
Glacial Fogfall – Greenland, 2017-18
Ginza Maison Hermès Le Forum, Tokyo
Courtesy of Fujiko Nakaya
Video: Noriko Koshida

純粋な水霧を用いた環境彫刻、インスタレーション、パフォーマンス、公園など、世界各地で80を超える霧作品群は、人と自然と取り結ぶメディアとされる。環境への関心は、世界で初めて雪の人工結晶を作った実験物理学者の父、中谷宇吉郎(1900-1962)の影響が大きいという。

また1970年代から社会を鋭く見つめたビデオ・アート作品の制作や、海外作家との交流を推進するとともに、日本の若手ビデオ作家の発掘と支援に尽力。2017年はロンドンのテート・モダン新館で霧の新作を発表。2019年も日本、アメリカ、オランダなどで新しいプロジェクトに意欲的に取り組んでいる。

▲事務所近くの東郷神社境内にて 2018年 東京
In the precincts of Togo Shrine, near her office in Tokyo, 2018

なお、本サイトでも既報のとおり、茨城県水戸市の水戸芸術館 現代美術ギャラリーで、2018年10月27日(土)から2019年1月20日(日)まで、企画展「霧の抵抗 中谷芙二子」が開催されている。非常にタイムリーな展覧会なので、こちらもぜひ注目してほしい。End

霧の抵抗 中谷芙二子

会期
2018年10月27日(土)~2019年1月20日(日)
9:30~18:00(入場時間は17:30まで)
休館日
月曜日、年末年始(2018年12月27日(木)~2019年1月3日(木))
※ただし12月24日、1月14日(月・祝)は開館、12月25日、1月15日(火)休館
会場
水戸芸術館 現代美術ギャラリー、広場
詳細
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/gallery02.html?id=502