生活に溶け込む中国のスマホ決済。
コンビニやカラオケボックスも無人化が進む

▲これが無人コンビニです。入り口でスマホをかざすと中に入れます。Photos by Misa Nakata

以前のこの連載で書いたお財布いらずの生活が当たり前になると、あちらこちらでどんどん無人化が進んでいきます。今回はその事例をふたつお話しします。

ひとつ目は無人コンビニです。今回は易果生鮮、という会社が運営している無人コンビニに行ってきました。

ここは上海中心部から少し離れた新興のビジネス街。小さな若い会社がたくさん入っていて若い子がたくさん働いているビル群の一角に無人コンビニがあります。居並ぶビルの形がダイナミックすぎて圧倒されます。

無人コンビ二、規模はコンパクトで、入り口には入場登録用にスマホでの認証が必要です。おそらくまだ無人運用の試行途中なのでしょう、社員の方が入場をサポートしてくださいました。

▲食材にはひとつひとつICタグが付いていて、レジでまとめて読み込ませると完了する簡単なシステムです。

中に入ると普通に食材などが並んでいます。違うのはひとつひとつにタグが付いていて、最後のレジでそれを読み取ってスマホで決済する、という手順です。スマホ決済はアリペイやウィーチャットを使ってピッで終わりです。

なんだか当たり前すぎて記事にしにくいのですが、今まで書いてきたスマホ決済やレンタル自転車やワイマイなど、すべて日常の生活の中に普通に溶け込んでいるので、何ら難しいことはありません。中国のスマート化はどれを取っても肩肘張らず素直に日常化しているという感じです。

……と撮影していると、なんと易果生鮮の総経理(社長)がふらりと挨拶に来てくれました。日本語を喋ってカメラを構えている人たちがいるぞと社員の人が連絡されたのでしょう、わざわざ通訳を連れて来て、いろいろお話ししてくれました。この敷居の低さも中国流ですね。

実は、中国のパナソニックは易果生鮮と食材配送サービスで連携しています。お客様ひとりひとりのバイタルデータを読み込んで、弊社の調理機器を使ってつくれる健康メニューを提案し、その食材が易果生鮮を通じて自宅まで即時配送される。それも食材が切られていたり、調理手順ごとに小分けされたりといったきめ細かさ! そして、スマホで調理機器を動かして簡単に調理する、というシステムです。こういった社外連携の取り組みもとても活発なのです。

▲パナソニックの調理家電からメニューを選んで、易果生鮮が食材を即時配送するサービスを始めています。

無人コンビニと聞くと、無人化によるリスクを思い浮かべてためらわれるのではと思いますが、中国市場においては無人化システム構築への挑戦と将来の成長性に投資家が期待をして、あちこちで実験的に運用、試行錯誤されはじめているとのことです。

最後にもうひとつの事例。おふたり様カラオケボックスで歌い放題、というのも少しずつ浸透しています。大きな電話ボックスのような出で立ちです。

イオンのような大きな商業施設の中にポツリポツリと置かれていて、買い物の合間に、またレストランの予約待ちの時間に、友だちまたはカップルで楽しく歌って隙間の時間を過ごす、といった感じです。歌った点数などの情報はアプリでお友だちに共有できる、といったシステムになっています。

無人で人を減らすのが目的ではなく、より便利に、よりニーズに大胆に応えていく、その前向きな姿勢が中国らしいと思います。End

▲おふたり様カラオケ。ひとりでもOK。隙間時間にぜひどうぞ。