最近、プラスチックストローとマイクロプラスチックというキーワードとともにプラスチックが悪者になっている気がします。使い捨てプラスチックをなくすべき……。私から言わせれば、そもそもこのネーミングを変えるべきですが、それはさておき、もちろん、削減できる資源は削減し、活かせる資源は活かすというのは当然のことだと思います。そのうえで、最近、これらの問題について何十回も聞かれて、そのたびにお答えしていることを書きたいと思います。
海洋ゴミはもちろん、海に浮かんでいる、または沈んでいるゴミです。でも、あれほどの量を誰が捨てたのか? あれは、どこからやってくるのか?海に向かってゴミを放り投げている人もいるかもしれません。豪華客船の船旅で、ゴミを海に投げる人もいるかもしれません。でも、おそらく、大した量ではありません(統計があるわけではないので、私見です)。ほとんどのものは内陸で発生し、生活用水とともに川に流されてくるのです。
マイクロプラスチックといわれるものは、私たちが普段見るプラスチックが細かくなったものというより、目に見えないプラスチック。代表的なのは「スクラブ」です。マイクロプラスチックは、ひじょうに小さいので、摂取したとしても排泄物として出てしまうのでそれほど大きな害はないと言われていますが、懸念されるのは、マイクロプラスチックに付着するさまざまな有害物質です。マイクロプラスチックには、有害物質を吸着しやすい性質のものが多いようです。有害物質が付着したマクロプラスチックを魚が食べた場合、マイクロプラスチックそのものは個体の外に出してしまいますが、有害物質は体内に蓄積されてしまいます。その魚を食べた私たちは……、という構図です。魚の個体が大きいほど害が大きくなるのではないかという懸念が出ています。
もうひとつの使い捨てストローのような比較的大きなプラスチック。先進国では、それらをポイ捨てする人などあまりいなくて、ほとんど回収されて焼却されます。つまり、灰になってしまうのでストローのままその辺に放置されていることは、あまりありません。何度かブログでも書いたように、発展途上国に運ばれた廃プラスチック類が大きな問題を引き起こしているのです。資源と呼ばれるゴミのようなプラスチックの塊から、リサイクル可能なプラスチックを選別します。では、残りの使えないプラスチックはどうするのでしょうか? 焼却するのにコストがかかる、または、そもそもゴミを回収する仕組みがなく、庭で燃やすこともないような国では、当然のようにそれらは放置されます。それが川に流されていきます。
マイクロプラスチックの問題でわかること。私も洗顔フォームでスクラブ入りのほうがすっきりするので、好んで使っていた時期がありました。しかし、そのときには予期しなかった環境問題が後に起こる可能性があるということです。日本をはじめ多くの国において、公害問題のほとんどは、何かを導入して数年、または、数十年たってから起きています。予期できないからこそ、環境問題の怖さがあります。しかし、気づいたら、行動を改めなければなりません。プラスチックストローであれば、使わないこと、削減することはもちろん大事ですが、まずは自分の国で、自分の地域で回収し、焼却する、リサイクルする、リユースするという仕組みを構築しない限り解決しません。プラスチックではなくて、紙にしたら、金属にしたら……と、一部に本末転倒な議論が進んでいますが、プラスチックに限らず、どんな人工物でも、最終的にはゴミになって生態系を脅かす事実は変わらないのです。
これらを理解したうえで、自ら判断してしっかりと商品を選ぶ、捨てるときに最低限の分別をしなくてはなりません。なので、もし「ストローを全部回収してリサイクルします!」という企業が出てきたら、私たちは全面的に協力したいと思います。