一白水成で知られる秋田の福禄寿酒造が運営する地域拠点
「下タ町醸し室 HIKOBE(ひこべえ)」

2018年5月12日(土)にオープンした下タ町醸し室 HIKOBE(ひこべえ)は、「一白水成(いっぱくすいせい)」などの日本酒を製造することで知られる300年以上の歴史をもつ秋田県五城目町の福禄寿酒造が運営する地域拠点だ。

本施設は、福禄寿酒造の日本酒各種の販売やカフェも併設され、旅行者・地域の人など区別なく、さまざまな人が集う場となっている。施設の設計は、東京・調布の建築事務所SUGAWARADAISUKE建築事務所が行なった。

本計画で重視されたのは、”日本酒を醸す風景に埋め込まれた歴史と文化を継承し、この町らしい未来の風景を発信する地域拠点にすること”。

複数回の増築で複雑化していた既存建物を減築しつつ、三角の庇と開閉式の大きなドアにより機能性と耐震性を確保。また、極寒期に外気の流入や風の吹きつけを緩和する風除室としても機能するこの半屋外空間は、表通り-裏庭-酒蔵-朝市通りをつなぎ合わせ、賑わいが生まれる場を生む狙いもある。

室内は、既存の木下地や欄間、使いこまれた建具や家具などと、新設される部材や素材を一体的に扱うことで、時間の中で成熟された価値とこれから積み重ねられる価値が同居するようデザインされた。新設された開口とテラスからは、町の象徴である森山を望むこともできる。

「HIKOBE」は、酒の販売や試飲だけでなく、地域文化の展示や発信、まちのリビングルームとして、開かれており、町内外の老若男女が自由に集い、留まることができる。歴史と未来、地域内外、モノ・コト・ヒトがつがなる、交流型の新しい公共空間。近くを訪れた際は是非足を運んでみてほしい。End

下タ町醸し室 HIKOBE(ひこべえ)

場所
秋田県南秋田郡五城目町下タ町236−2
Googleマップでみる>
建築設計
SUGAWARADAISUKE建築事務所 (担当:菅原大輔、山本明弥香)
構造
yasuhirokaneda STRUCTURE (担当:金田泰裕)
照明計画
灯デザイン(早川亜紀)
施工
藤井工務店(担当:藤井好春)
写真
Photo Office-K(コンドウ ダイスケ) / ドローン写真:SUGAWARADAISUKE建築事務所