スキーマ建築計画がデザインの力で商店街を活性化
前橋デザインプロジェクトの一環で和菓子屋の新築計画が竣工

長坂常が主宰するスキーマ建築計画は、前橋中心市街地をデザインの力で活性化する取り組み「前橋デザインプロジェクト」の一環として、同市の中央通り商店街の和菓子屋「なか又」の新築計画が2018年夏に竣工したと発表した。

この土地にはフルにその面積を利用した2階建の住居兼靴屋の建物が建っていて、左右は両隣の建物、上下はアーケードと地面で見切られ一面だけを街に表し、唯一インテリアからのみ、その奥行きを感じられるつくりとなっていた。

本計画ではそれを解体撤去し、新築を計画。もともとの敷地面積に対して、イートインのない和菓子屋に必要な延べ床面積は極端に小さく、余った体積をどのようにこの街の中で還元させるかが、この計画の大事な鍵となったという。

本プロジェクトのデザインコードとして、必ず煉瓦を屋外で使用するという条件があり、中村竜治氏が手がけるパスタ店と高濱史子氏が設計するトンカツ屋という両隣の計画の進行を見ながら設計。

両隣に積み上がる煉瓦を想定しながら、一度は同じように積み上げ、それをふたつに分断し、それぞれのボリュームを小さくすることで、両隣との関係を意識しながらも、その間に生まれる虚の空間が豊かになるように設計を進めた。

そして、新築でありながら、商店街全体で見ると、減築のデザインに仕上がった。商店街として視覚的には繋がりながらも、室内だけではなく、屋外にも奥行きを生み出し、商店街を立体化させることで、来客者の期待感を募らせる場を生もうとしたそうだ。

全国各地の商店街がシャッター街化するなか、同事務所の取り組みが街の空洞化を食い止める好例になることを期待したい。End