ザハ・ハディドが遺したナポリ・アフラゴーラ高速鉄道駅
旅行とデザインを融合させるプロジェクト

Hufton + Crowが撮影したナポリ・アフラゴーラ高速鉄道駅

イタリアのナポリ・アフラゴーラ高速鉄道駅(Napoli-Afragola High Speed Train Station)は、2016年に逝去した建築家ザハ・ハディドの遺作のひとつで、第1フェーズが完了した2017年6月に開業した。

イギリス国営放送BBCは、同駅を2017年にオープンした世界最高の建築物のひとつに選んだ。8本の線路の上に掛けられたこの壮大でヘビのような高架橋は、時速300kmで走るイタリア高速鉄道と、駅同様ヘビのような形をした列車のダイナミズムを体現する。また、この駅から眺める、心に残るこのベスビオ山の景色も魅力として挙げている。

また、アメリカのデザイン雑誌「Surface」が選ぶ2018年度「Surface Travel Awards」の交通機関部門も受賞。旅行とデザインにまたがる新プロジェクトのなかでも、最も思慮深く計画されたものであると評価した。

この地域の鉄道需要は過去10年間で50%以上増加しており、このプロジェクトも将来的な需要を見据えて設計されている。2022年に全フェーズが完成すると、南イタリアの玄関口となり、4本の都市間路線と3本の地域路線が交差する主要駅となる。

▲Photos by Hufton + Crow

450mのカーブした通路に沿って台形を押し出した形状の駅の高架コンコースは、環境性能を向上させるために線路に対して斜めに掛けられているという。建物に組み込まれた太陽光電池アレイ、自然光、換気、および地中冷暖房システムにより、駅のエネルギー消費は最小限に抑えられている。End