イタリアのデザインコンペティション「A' Design Awards & Competition」
2017年度のゴールド受賞作品を一部紹介します

毎年イタリアで開催される国際的なデザインコンペティションであるA’ Design Awards & Competition(エーダッシュデザインアワード&コンペティション)が、2018年の通常エントリーを開始している。

A’ Design Awards & Competitionは、優れたデザイナー、デザインコンセプト、プロダクト、サービスを表彰する世界最大級のコンペティション。受賞者の知名度を高め、広くPRする機会をつくることを目的としており、受賞者は国際的な注目を集めるだけでなく、「A’ Design Award Winners’ Kit」と呼ばれる以下のような様々な特典が与えられる。

・イタリアの会場およびオンラインで行われるエキシビションへの参加
・イヤーブックへの掲載と、ハードカバー版の贈呈
・ネットワーキングのためのガラナイトへの参加
・100以上のオンラインマガジンへの掲載
・World Design Rankingsへの掲載
・A’ Design Awardのビジネスネットワークへの参加
・大規模なPRキャンペーンの実施
・プレスリリースの準備および配布
・作品の販売
・トロフィー、受賞証明書の贈呈
その他の特典はウェブサイト上で確認することができる。

カテゴリーおよび過去の受賞者

A’ Design Awards & Competitionには、インダストリアルデザイン、建築デザイン、プロダクトデザイン、コミュニケーションデザイン、サービスデザイン、ファッションデザインなど多岐の分野にわたる100以上の応募カテゴリーがある。作品はそれぞれの分野における学者、専門家、メディア関係者等の識者で構成される審査員団によって評価され、プラチナ(最優秀賞)、ゴールド、シルバー、ブロンズ、アイアンの賞が贈られる。ここでは、その中でも特に注目される3つのカテゴリーと、各カテゴリーにおける昨年のゴールド受賞者をセレクトして紹介していく。

家具・装飾品・家庭用品デザイン

当カテゴリーでは、世界中のデザイナー、家具メーカー、製作者から、コンセプト段階または実現されたデザインを募集。

《2017年ゴールド受賞者》

Little Bo(花瓶)

▲デザイナー:Santiago Bautista(デンマーク)

ハンドメイドの磁器製の花瓶Little Boは、北欧デザインのシンプルさとスペインの繊細な職人技の組み合わせであり、抽象的で精彩のないオブジェとして見られがちな花瓶に、遊び心が込められている。頭部のない動物の姿をした不完全なデザインだが、その個性は、自然にある様々な植物や花を活けることで使用者により最終的に決定される。

Yosegi(多機能スツール)

▲デザイナー:Yoshiaki Ito(アメリカ)

ヒノキや神代杉を使った多機能スツールであるYosegiは、組み合わせれば簡単に片づけ可能で、空間を節約することができる。バラバラにすると、一対の椅子にもなり、フットレストやフットスツールにもなる。積み重ねたり、組み合わせたり、インテリアとのマッチングも楽しく、必要な休息も与えてくれる。

Wine credenza II(テーブル)

▲デザイナー:Han Sung-Jae(韓国)

Wine credenza IIは、テーブルとワインホルダーを融合したもの。テーブルの中にはレールとメタルフレームがあり、ハンドルを回すとワインが1本出てくる仕組みだ。ワインが回るプロセスを楽しむこともできるが、仕掛けを視覚的に味わうだけではなく、アーティストとユーザーの間にもコミュニケーションが生まれる。

建築・ビル・構造デザイン

世界中の建築家、建築事務所、不動産ディベロッパー、建設会社によってデザインされた、建築、アーバンデザイン、ビルのデザインのコンセプト段階または実現されたデザインを募集するカテゴリー。

《2017年ゴールド受賞者》

Baan Nong Bua School(学校)

▲デザイナー:Jun Sekino(タイ)

Baan Nong Bua Schoolはタイのチェンライにある、耐震性を考えた地域の学校である。鉄骨の主要構造で、材と骨格フレームの柔軟性が地震の揺れを吸収し、建設プロセスも短縮できる。その土地独特のデザインで、材料や天候などの地域要因に対応するように設計されており、公共建築のモデルにもなりうる。

Solar Egg – More than a sauna(公衆サウナ)

▲デザイナー:Futurniture and Bigert & Bergström(スウェーデン)

Solar Eggは、数十年にわたる鉄鉱石の採掘で地盤沈下した街全体を移転する計画のある、スウェーデン・キルナ市の再生と新たな機会を象徴している。仮設的で移動可能な卵型のサウナは、ステンレス製の鏡に金色のチタン・コーティングが施されている。高さ5メートルで、室内は松とヤマナラシ、中央の彫刻のようなかまどは地元の鉄と石でできている。

Olympea(住居)

▲デザイナー:Joy Alexandre Harb(レバノン)

地形に埋め込まれたようなOlympea邸は、1階に続く2つのL字型の構造を組み合わせている。家のどこからでも緑あふれる中庭を見ることができ、したがって、家のなかに廊下は存在しない。レバノンの象徴であるスギの木が中庭に植えられており、このプロジェクトの中心を担っている。

グラフィック・ビジュアルコミュニケーションデザイン

このカテゴリーでは、プロおよび若いグラフィックデザイナー、グラフィックデザイン事務所、ブランディングデザイナー、コンサルタント企業、クリエイティブエージェンシー、広告スタジオなどによる、コンセプト段階または実現されたデザインを募集。

《2017年ゴールド受賞者》

Anti-Glitch Foundation(コーポレートアイデンティティ)

▲デザイナー:Papanapa(ブラジル)

頭に浮かんだ視覚的なコンセプトを使って開発した、実験的なフォント。各文字は2つのフォントセット(AとB)の組み合わせでできており、ユニークでいきいきとした、手触り感のある視覚的な広がりを創り出している。この文字は、ブランドのビジュアル資料やコミュニケーション全般にわたり用いることができる。

Handmade warmth(小冊子)

▲デザイナー:Alexander Kirzhbaum and Tatyana Farba(ロシア)

子ども支援基金の小冊子で、糸で綴った可愛らしく暖かみのあるイラストが特徴的。子どもに向けた短い詩を添えており、絵柄は心遣いや面白みのあるやり方で、基金のプログラムとプロジェクトを説明している。大人たちが本を読んでくれた子ども時代に戻ったように、暖かく、愛され、安心感のある雰囲気を与えている。

Tokyo Metropolis(建築イラストレーション)

▲デザイナー:Alexander Daxböck(オーストリア)

Tokyo Metropolisは、マンガ・コミックの一般的なグラフィック言語やビジュアル言語を、建築デザインの表現ツールやコミュニケーションツールとして活用する試みである。従来のレンダリングやビジュアライゼーション技術に対して、建築コンテンツを売り込んだり、提案したりする別の方法を模索するものだ。

これら以外にも、応募対象となるカテゴリーは細分化され、非常に多く設けられている。エントリーの際は是非チェックしてみてほしい。End

A’ Design Awards & Competition

申し込み方法
まず以下のサイトより登録を行う。
https://competition.adesignaward.com/registration.php

登録後、ウェブサイトにログインし、コントロールパネルからデザインやプロジェクトをアップロードする。
応募の詳細は以下のウェブサイトで確認することができる。
http://www.whatisadesignaward.com
http://www.designaward.com

応募期間
(通常) 2018年7月1日(日)~2018年9月30日(日)
(追加) 2018年10月1日(月)~2019年2月28日(木)
結果発表
2019年4月15日(月)
詳細
http://www.competition.adesignaward.com/calculate-nomination-fee.html
注意事項
応募期間や参加者のアカウントの種類により、ノミネーションの際にかかる参加費が異なる。