スキーマ建築計画が新プロジェクト 「北条SANCI」を竣工
鎌倉の閑静な住宅街に計画したオフィス兼住宅

建築家・長坂常が主宰するスキーマ建築計画は新プロジェクトとして、PARTYの鎌倉オフィス「北条SANCI」を竣工させた。これは、鎌倉の閑静な住宅街に計画したオフィス兼住宅で、豊かな周辺環境や建物自体の素材を活かし、バラバラな機能を持つスペースがどのように納まるか意識し、それぞれに「高さ」を作ることで人の動きを考えたもの。

建物は典型的な日本家屋で、築80年以上。この建物はどの部屋も屋外に接し、襖をはずせば広い間が生まれる。壁や天井の素材も味わいがあり、そのままにするか剥がして下地を見せれば素敵な表情になることが予測された。

そこで床に注目し、その在り方から性格分けやゾーニングを構想。玄関の土間より40cm高い畳をベースに、それぞれの広さと素材を操作し、そこに設置する家具により各部屋の性格分けを行っている。さらにレベル差に緩急を与えて、内外問わず多様な目線を生み、どこにいても豊かな自然と活気を感じられる場が生まれた。

本計画では、床を操作し空間を更新させたことで生まれた多様過ぎる表情を和らげるために、無機質なグレイの家具を挿入。緩やかに繰り返される有機質と無機質の一定のコントラストが全体の表情をつなぎとめ、空間の多様性さをコントロールしている。

なお、このプロジェクトはAXIS誌194号の特集にも掲載予定だ。End