NEWS | アート / テクノロジー
2018.06.14 12:49
オーストリアのリンツで開催される芸術・先端技術・文化の祭典「アルス・エレクトロニカ」が、メディアアートに革新をもたらした者を表彰する2018年度の「アルス・エレクトロニカ賞」(Prix Ars Electronica)を発表した。
注目のINTERACTIVE ART+部門のゴールデン・ニカ賞(グランプリ)はベルギーのアートデュオLarbitsSistersが受賞。彼女たちの活動「BitSoil Popup Tax & Hack Campaign」が評価された。
この活動では、われわれがクリックや投稿を行うごとにGoogleやApple、Amazon、Facebookなどに富やデータが自動的に集中するシステムへの批判を表現。インスタレーションとして、これら大企業への富の集中に対する仮想的な徴税システムを可視化している。
同部門のAward of Distinction(準グランプリ・優秀賞)は、大阪大学石黒研究室の石黒浩教授・小川浩平助教授と東京大学池上研究室の池上高志教授・土井樹氏が共同開発し、動きの複雑さから人間らしさを表現することに挑戦した新作アンドロイド「機械人間オルタ(Alter)」が受賞。
また、アメリカのMary Flanaganによるアート作品 [help me know the truth] も優秀賞に選出。これは、その場で撮った参加者のデジタルポートレートが展覧会の一部になるもの。加工した複数の画像から、あるキャプションにふさわしい表情のものを選び、そこから無意識的な文化的傾向性などを見つけ出す試みだ。
その他、日本の受賞者としてHonorary Mention(佳作・栄誉賞)には、人間とAI(人工知能)の間でDJパフォーマンスを行うQosmoの「AI DJ Project」や、市原えつこ氏による、家庭用ロボットに故人の顔を3Dプリントした仮面をつけ、故人の人格、口癖、しぐさが憑依したかのように身体的特徴を再現するモーションプログラム「Digital Shaman Project(デジタルシャーマン・プロジェクト)」、オープンリール式のテープレコーダーを改造して楽器として演奏するバンドOpen Reel Ensembleの和田永を中心とした、古い電化製品を電子楽器として蘇生させ、オーケストラを目指すプロジェクト「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」が選ばれている。