環境を守るための基準
あなたは埋め立て処分場を知っていますか?

日本が世界的に見てきれいな国である大きな理由のひとつは、やはり、環境関連の法律、特に、廃棄物に関する法律が整備されていることにあります。細かく言えば、いろいろ課題はありますが、過去の公害問題を反省し、二度と同じ過ちを繰り返さないように整備された世界的にも厳しく、細かい法律です。これまで、リサイクルについていろいろと書いてきましあが、今回はリサイクル以外の廃棄物の世界を簡単に紹介したいと思います。

最初は、ものの墓場、埋め立て処分場です。ものの最後は埋めたときです。どこで製造されても、どこで購入しても、何度リサイクルしても、捨てる場所が日本であれば、かたちはどうであれ、必ず埋め立て処分場に行きます。

以前は東京湾、つまり海の埋め立て処分場を紹介しましたが、今回紹介するのは山です。文字通り、広大な土地を切り開き、大きな穴に廃棄物を埋めていきます。表面はきれいに整地され、見た目にはわからないくらいになります。そこに立ってみるとわかりますが、臭いはしません。しかし、埋め立て処分場の際を見てみると、ゴミがこんな感じで埋まっています。ほんとに大丈夫か?と思われるかもしれません。

埋め立て処分場への持ち込み時の写真です。小さく人の姿が見えると思います。埋め立て処分場にはたくさんのルールがあります。劇物、毒物など有害物質はもちろんダメ。長さ制限もあって、30㎝まで、50㎝までなど。そして、あまり知られていないのが、紙や木など、腐ってしまうものもダメ。これらをどうチェックするのか? それが、写真に写っている人の役割です。大型ダンプからゴミを降ろしたら、重機で平たく馴らし、人が目視します。臭いを含め、かなり厳しくチェックをします。変なものが見つかったら……、全量、持ち帰りとなります。1度目はイエローカード、2度目はありません。

なぜ、そんなに厳しいのか? 表面上は良い環境になっていますが、雨が降れば、雨水がそのゴミを通過して地下に浸透します。その結果、生態系に悪影響が出たら? 劇物、毒物が浸透したら? 入り口で人によるチェックはしていますが、実は、大きなビニールシートで穴全体を覆っています。つまり、ゴミを通過したすべての雨水は、地下に浸透させるのではなく、一カ所に集め、水処理を行い、きれいにしてから放流しています。斜面の数字は、何メートルまで埋めているかが一目でわかるようにするため。

環境問題は、後に公害が発生してから気づく場合が多いのです。そのときは良いと思ってやったことが、後々大きな代償を払わなければならない事態になることもあります。だから何重にもチェックによって公害を防いでいます。

ものの最後の面倒を見る優良な廃棄物業者は存在します。しかし、どれほど彼らに技術があっても、埋める場所は無限ではありません。私たちは、世の中に何かを生み出すと同時に、しなければならないことがたくさんあると感じます。これを読んでいただいた皆さん、自分たちの製品やサービスの最後を見届けることまでを、ビジネスとしてとらえていますか? End