独自の色彩表現で、ルノワール、モネ、ゴッホと向き合う
流 麻二果「色を追う/Tracing the Colors」

▲美術館入口からエスカレーター降りてすぐの会場。自然光が差し込むスペース。
Photo by Ken KATO

3月17日からポーラ美術館アトリウムギャラリーでアーティスト、流 麻二果さんの個展「色を追う/Tracing the Color」が開催されています(5月13日まで)。あざやかな色彩表現が特徴の流さんが、ポーラ美術館収蔵の印象派3人の絵画と向き合い、コンテンポラリーアートとして再構成したものです。

▲ゴッホの「草むら」から着想した作品『照降なし/Neither Rain nor Shine』(左)と、新シリーズで初公開の『色の跡:フィンセント・ファン・ゴッホ「草むら」/ Traces of Colors:Vincent van Gogh ”Clumps of Grass”』。
Photo by Ken KATO

▲『色の跡:クロード・モネ「睡蓮の池」/ Traces of Colors:Claude Monet “Water Lily Pond”』。こちらはモネのオリジナル「睡蓮の池」の額縁に、流さんの作品を額装している。
Photo by Ken KATO

ルノワール、モネ、ゴッホのそれぞれの作品の色彩を解釈し直し、再構成したシリーズ「色の跡」。これは、色を重ねることによって出てくる深みを表現しています。

▲流 麻二果さん。今年でアーティスト活動20周年を迎える。

流さんは「日本の色彩が持つ“陰影”を味方につけ、西洋の油絵の手法の中にその陰影を取り入れています」と話します。色の重なりで見えてくる陰影は、作品を直に見ないとわからない繊細さがあります。さらに、現代の印刷技術やカッティングシートを駆使し、会場全体をひとつの作品としています。

▲以前紹介した有機EL照明「カネカルーチェ」を使用した会場。
Photo : Ken KATO

展覧会場のアトリウムギャラリーは、昨年、照明家の豊久将三氏によってディレクションされ、有機ELパネルの連続によって柔らかく広がる光が会場全体を包んでいます。普段、流さんは自然光がメインのアトリエで作品をつくられているとのこと。今回の照明について聞くと「まず、会場の有機ELの照明をすべて100%の明るさで点灯しました。その光の下で見る自分の作品の色がとても綺麗だったんです」と語ってくれました。印象派の絵画たちと対話する流さんのコンテンポラリーアートを、ギャラリー全体を包む光がつくる自然な陰影とともに楽しむことができます。End

流 麻二果 Manika Nagare「色を追う/Tracing the Colors」

会期
2018年3月17日(土) 〜5月13日(日)
会場
ポーラ美術館 http://www.polamuseum.or.jp/
詳細
http://www.polamuseum.or.jp/hiraku_project/03/

取材協力 : ポーラ美術館  http://www.polamuseum.or.jp/