アウトドアランタンは、ソロキャンプからオートキャンプ、昨今のグランピングではもちろん、災害時にも活躍する、持ち運べる灯り。かつては、灯油やガソリンを燃料とし、熱源を光源として利用するものが主流で、炎が上に向かうため、ランタン本体は下に置いて上方を照らすものだった。そのため、LED照明の時代になっても、ノスタルジーから旧式のランタンを模したフォルムや使い方をする製品が多く見られる。
しかし、太陽や月明かりに象徴される自然の光は上から降り注ぐものであり、LED光源を用いながら点火式ランタンの制約を踏襲したデザインをする必要はないのでは? そんな疑問から開発されたのが、コンパクトな本体とコップ型シェードの組み合わせによって、さまざまな使い方ができる「ルナークCL1」だ。ルナークは、LEDの回路設計に長けたペンライトメーカーと、自身もキャンプを楽しむデザイナーの角南健夫氏が組んで誕生した日本のアウトドアブランドである。
例えば、寒色系と暖色系のLEDを切り替えたり、同時に点灯することで、ムードや明るさを選べることも、キャンプでの実体験が生かされた特徴と言える。また、電源に単三乾電池(アルカリまたはニッケル水素充電池)を用い、駆動電圧の関係で乾電池3本向けの設計が多いところを、偶数本で販売されている実態に合わせて、あえて2本用の回路を実装するなど、実際に使う身になって考え抜かれた仕様が採用されている。最適化された設計によって、サイズや重量の面でも携帯に便利なパッケージングが可能となり、CL1はIPX4相当の生活防水仕様を持つ本体のみを携行して使うこともできる。
また、コップ型シェードは、吊り下げたり、手に持ってフラッシュライト風に使う場合に、点光源であるLEDの光を拡散させる役割を果たし、そのままテーブルなどに置いて利用する際には光源部の支えともなる(もちろん、光源を上に向けて置くことも可能だ)。
そして、これまでにないユーザービリティを実現する特徴として、どの状態にあっても、本体を空中で回すだけで無段階の調光が行える機構を備えている。これは、モーションセンサーの内蔵によって実現された機能であり、電気的なスイッチを電源兼モード切り替えボタンのひとつのみとして、故障の発生を最小限に留めるうえでも役立つ。
小さなことだが、上部のフックひとつ取っても開閉式にして、張られたロープを外すことなく吊り下げられる点なども含め、日本ならではの細かい気配りに満ちた製品である。