NEWS | プロダクト
2018.03.02 16:18
メーカーとデザイナーと自治体がコラボする製品開発はさまざまにあるが、行政ゆえの単年度で結果を求めるような取り組みではなく、もう少し先を見据えた、地域やものづくりの未来にまで思いを馳せるようなプロジェクトを見たい。デザインライターとしてそんなことを思っていたら、墨田区が進める地域ブランドプロジェクトのひとつとして「SUMIDA CONTEMPORARY」が発表となった。この新しいプロダクトレーベルは、今秋正式にローンチされるというが、そのプレビューエキシビションが東京の銀座ロフトでスタートした。
8年目を迎えた地域ブランド「すみだモダン」が、江戸や明治から続く伝統のものづくりをまっすぐに国内やインバウンドに向けて訴求するものだとしたら、SUMIDA CONTEMPORARYはディレクションはもとより、メーカーとデザイナーのマッチング、商品の方向性などにおいて、歴史や地域性を超えて、より普遍的な価値を発信していくブランドとなりそうだ。
SUMIDA CONTEMPORARYのクリエイティブディレクターを務めるダヴィッド・グレットリはスイス出身。2008年に日本に移住し、デザイナーの柳原照弘のスタジオを経て、「KARIMOKU NEW STANDARD」のクリエイティブディレクションや有田焼「2016/」などのプロジェクトに参加。日本のものづくりや商習慣に精通しながら、海外の視点を織り交ぜたディレクションにより、さまざまのプロジェクトに現代的で新鮮な切り口をもたらしている。SUMIDA CONTEMPORARYについては、「墨田区のものづくりを再解釈し、現代そして未来を見据えてグローバルに訴求していきたい」と意気込みを語る。
以下のとおり、メーカー8社とデザイナー11組のマッチングは決まり、製品コンセプトもだいたい出揃ってきたという。今後は秋のお披露目に向けて、プロトタイプづくりを本格化させていくところだ。
例えば、盆栽専門のジョウロを製造する根岸産業は、ジャスパー・モリソンとともに一般ユーザー向けのジョウロを開発するという。また、片岡屏風店と組むアーティストとデザイナーは、平面と捉えられがちな屏風に、空間や建築、素材といった考え方をかけ合わせるという。どちらも、これまで閉じた世界で深めてきた技術を解釈しなおし、SUMIDA CONTEMPORARYというプラットフォームによって人々に開いていく試みだ。
SUMIDA CONTEMPORARYのメーカーとデザイナーのマッチングを紹介するプレビューエキシビションは、銀座ロフト(3階ロフトマーケット)で、3月21日(水)まで。3月23日(金)〜25日(日)には、丸の内の「GOOD DESIGN Marunouchi」に巡回し、24日(土)にはダヴィッド・グレットリ、山田 遊、藤城成貴によるトークイベントも開催される(予約不要)。さまざまな地域でブランド開発プロジェクトに関わる経験をもとに、SUMIDA CONTEMPORARYへの期待や展望が語られる予定だ。
SUMIDA CONTEMPORARY Preview exhibition
- 会期
- 2018年2月28日(水)~3月21日(水)
- 会場
- 銀座ロフト 3階ロフトマーケット
東京都中央区銀座2-4-6 銀座ベルビア3階(すみだ地域ブランド展示会内) - 会期
- 2018年3月23日(金)~3月25日(日)
- 会場
- GOOD DESIGN Marunouchi
東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1F(すみだ地域ブランド展示会内)