色の再現性に挑む光源——Soraa(ソラー)

▲Sortaの「VP3 NATURAL WHITE」の特徴がわかる食材の見え方。

2008年米国シリコンバレーに設立されたベンチャー企業 Soraa(ソラー) 。2014年にノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏らが創設者であり、限りなく自然光に近い光を再現できる白色LED光源を開発したメーカーです。青色ベースLEDに比べて、太陽光に近い波長を持つ白色光を実現できる紫色ベースLED。その開発実用化に成功し、特に色の見え方が優れていると同社の製品はさまざまな分野で注目を集めています。

▲照明デザインスタジオ 、ワークテクトで開催された「食と光のワークショップ」より。Soraaの紫色ベースのLED白色光と一般に量販されている青色ベースのLED白色光を食材や料理に当てて、見え方の違いを体感した。

▲「食と光のワークショップ」より。

対象物を照らす際に、自然光が当たったときの色をどの程度再現しているか。この指標を演色性といいます。Soraaはこの演色性が高く評価されています。光源が太陽光に近いフルスペクトルを持ち、あらゆる色を再現できる「VP3 VIVID COLOR™」 と 同時に微妙な白さの違いをはっきりと再現する「VP3 NATURAL WHITE ™」のふたつの技術(特性)を持ち合わせていること。この特徴がわかりやすく伝わってくるのが食材や料理。野菜などの食材本来の色を忠実に再現することで、赤や緑などの色が際立ち美味しく見せることができます。そして、自然光の下での白さを鮮明に再現できることによって、食材の鮮度が識別しやすくなり、調理の作業効率も上がります。この特徴は美術館やギャラリーでのアート作品に対する照射にも効果を発揮しており、ベルサイユ宮殿の天井絵画用にも採用されています。

▲ベルサイユ宮殿の天井絵画用の照明としてSoraa製品が採用されている。

さらに、Soraaの紫色LEDの白色光は人々の健康にも関係してくることが報告されています。青色LEDに含まれる波長が朝日に含まれるものに近く、夜間に青色ベースのLED白色光を見ると睡眠障害を起こしやすいが、紫色ベースのLEDにはそれがないというデータも発表されています。そして、Soraaの白色可視光によるバクテリア抑制の実証実験も現在行われています。黄色ブドウ球菌、大腸菌などが滅菌される可能性があり、実現すれば医療現場で活用も考えられます。

▲Soraaの製品にはマグネットで前面に取り付けられるオプションがある。これによって光色や配光を調節することができる。

もののリアルな色を限りなく再現するSoraaの光。これからの住空間やさまざまな商業空間での活躍が期待されます。

取材協力 SORAA 株式会社 https://www.soraa.com/
株式会社ワークテクト http://www.worktecht.co.jp/