2016年と2017年のミラノサローネで、アイシン精機のインスタレーションを制作しました。アイシン精機は巨大な自動車部品メーカーで、トヨタをはじめとする国内外の自動車ブランドにさまざまな部品を供給しています。
2016年の作品では、歯車を葉に見立てて巨木をつくり、その歯車に開けた無数の穴から木漏れ日のような光が注ぐ作品をつくりました。精密に噛み合い動き続ける機械部品から美しい光の情景が生まれる様は、アイシン精機が縁の下から豊かなクルマ社会を支え続けるというメッセージを表しています。
2017年は、未来のクルマと人の関係がテーマです。乗る人を「おもてなし」するクルマというお題に対して、糸を編み込んだ優しくて柔らかなクルマのオブジェをつくり、その中心に置いた楕円球状のLEDディスプレイに、人とクルマのさまざまなストーリーを映しました。美しく詩的な作品の背後には、膨大な数学と技術が詰まっていますが、それを感じさせることなく実現しています。
ーーデザイン誌「AXIS」187号より