20世紀を代表する建築家、フランク・ロイド・ライト。生誕150周年を迎える今年、照明メーカー、YAMAGIWAは、ライトがデザインした名作照明「タリアセン2」へのオマージュモデルを発表しました。フランク・ロイド・ライト財団と1994年からライセンス契約を結び、ライトが設計した住宅のための照明器具の復刻を手がけてきたYAMAGIWA。その開発と販売を続けてきたなかにはどんな想いがあったのか。開発担当者にお話を聞きました。
ライトの照明器具は、素材には金属・木・ガラスなどが使われ、大量生産には適さないディテールで製作されていました。YAMAGIWAの開発チームは、ライトが設計した住宅を実際に訪れ、実測・リサーチし、財団との試作の検討のため何度も渡米しました。現代の生産技術でオリジナルの特徴を損なわないよう数多くの工夫がなされたそうです。
ライトの建築は、光によってその姿が浮かび上がるような自然の要素が取り入れられています。彼が用いた間接光などの手法は今では時代を超えたスタンダードとなっており、フロアライトの「タリアセン2」の形状にも如実に表れています。YAMAGIWAはライトのデザインの特徴をリスペクトしたうえで、現代の生活スタイルに合わせたバリエーションを企画し、財団へプレゼンテーションしていきました。
開発のスタート時、まだ日本にはなかった素材や技術が施されていたライトの照明器具。このプロジェクトが自社の技術向上のきっかけになったと開発担当者は話します。そしてこのフランク・ロイド・ライトシリーズの照明器具は販売開始から25年を経た現在まで、シリーズ全体としては一度も売り上げが落ちたことがないそうです。
1世紀以上経っても、現代のライフスタイルに受け入れられ、愛されるライトの照明器具。そこには恒久的な生産を可能にしようとするメーカーの誇りと自信がありました。
取材協力 : 株式会社YAMAGIWA