カネカから発売開始されている「KANEKA LUCE(カネカルーチェ)」。同社OLED事業開発プロジェクトにより製品化されたこのシリーズは、照明家の豊久将三さんのデザインおよび監修によって生まれました。多くの美術館や博物館、商業施設などの照明設計を手がける豊久さんが理想とする光を実現したKANEKA LUCE。その特徴や、心地よい光についてお話を聞きました。
「美しい、質の高い光をつくりたいだけ」と豊久さん。それはスペックや数値にとらわれない人たちにとって快適に感じられる光の文化をつくっていきたいということだと言います。カネカの有機EL照明はすでにいくつかの美術館に採用されており、その光のクオリティを住空間にも提案していきたいという想いがあるそうです。
室内に採光するために、庭に白砂を敷いて太陽光を反射させ、障子を通して柔らかく光を取り込むという方法があります。このように、人には昔から心地よい光をつくろうという感覚がある。その「心地よい」という感覚が人間本来の力を使っている証拠だと、豊久さんは話します。ダウンライトやシーンリングライトなど天井からの直下の照明だけではなく、良い空気感をつくる空間照明があるということを、もっと生活の中で体感してもらいたいと。
面発光で広範囲に拡散し眩しさを感じにくいというのが有機EL照明の特徴。そして薄くて軽い光源であること。美術館などの公共施設や商業施設に納入実績のある有機EL照明をさらに実用性のあるものにしたいということから製品化されたKANEKA LUCE。カネカOLED事業開発プロジェクトの瀬崎さんは、「形として見られる照明器具ではなく、光そのものを伝えるためにデザインはシンプルにしたかった」と言います。
先日ニューヨークのミュージアム・オブ・アーツ・アンド・デザインで、KANEKA LUCEのつくる光空間を体感できるインスタレーションを行い、多くの人たちから評価を得ました。高品質な光で必要とされる明るさを確保できる、光の選択肢。実用性の高い製品として活躍しそうです。
取材協力
株式会社 カネカ OLED事業開発プロジェクト https://www.kanekaoled.jp/
株式会社 キルトプランニングオフィス