やりたいからやる、やりたくないことはやらない。
上海から学ぶポジティブシンキング

▲ごった返してもどんどん進む! Photos by Misa Nakata

ここ数回、中国の人たちの思考パターンについてお話してきました。

「やりたいからやる、やりたくないことはやらない」。本当にこちらに来てこの考え方に翻弄されるときもありますし、逆に助けてもらうこともあります。

地下鉄やバスでは順番待ちをしません。隙間があると、前に割り込んできますが、それは空いているからOKという発想。そして扉が開いて、なかの人が出終わるまで待つことなく、乗り込む人とでごった返しになります。みんな早く降りたいし、早く乗りたいからです。

道の真ん中、人の流れのど真ん中で突然立ち止まる人もいます。歩いているとスマホで文字を打ちづらいから、止まって打つのです。

▲歩きたいところを歩く!

また、エスカレーターではあまり歩きません。だって楽をするために乗ったエスカレーターだから、そこを歩く必要がないと思うからです。日本に帰国してエスカレーターの片方を多くの人が我先に歩いて行くのを見ると、みんなどうしてそんなに急いでいるの?と考えてしまう僕は、中国思考になってきた証拠でしょうか。

路上や公共施設のなかで、大声で喋っている人たち。それは相手にちゃんと伝えたいと考えているから。中国語はピンインという声のトーンがあって、音は同じでもそのトーンを間違うと全く違う意味になるので、明快に伝えるために大きな声になるのです。

▲エスカレーターは歩かない!

これらを「中国の人はマナーがない、配慮がない」ではなく、「やりたいという気持ちと行動がシンプルにつながっている」と僕は捉えるべきだと思います。

そして、日本人はこれを少し学んだらいいのではないか、と思うのは僕だけでしょうか。

やりたいけど周りの目があるのでやれない。ルールだから通例だからやるしかない。やりたくないけどみんながやっているから合わせよう。あいつは他から浮いているのでダメだ。

しばらく日本から離れたところに身を置いて、日本のニュースや日常の出来事を客観的に見ると、配慮という言葉の逆方向のネガティブなところがとても心にチクチクと刺さります。そして、自分の思いとは違うことをやらざるを得ないと考えてしまう思考環境。昨今問題となっている、心に病を抱える原因のひとつなのではと思います。

▲座りたければ座る!

やりたいことはやってみよう! おぉ、やろうやったろう! やったら問題がたくさん出ると思うけど、それはそのときに何とかしていったらいいやん! おぉ何とかなるから大丈夫やで~! 突出する奴はすごいなぁ、くっそ〜うらやましいっ! 逆に真似してでも追い抜かしてやろう! ……といった、前に前に転がっていく若々しく荒削りな雰囲気が、日本から本当になくなってきていると思います。

僕は会社ではマネージャーの仕事をしているので、少なくとも自分の裁量範囲では、周りのメンバーに、このような野生的で想定外な発想や行動をどんどんやってもらいたい、失敗や停滞など何かあったら最後に僕がフォローすればいいから、と考えて日々ポジティブシンキングを実践しています。

その心を一句にまとめますと。

まあいいか
なんとかなるさ
だいじょうぶ

それによって実際仕事でどういうことが起きるのか。この後のお話は、僕の会社での出来事を紹介していきます。End