中川ケミカル
カッティングシートのパイオニアが考える、空間への提案

▲中川ケミカル「CSデザインセンター」

2017年の今年創立51年目を迎える、カッティングシートのパイオニア中川ケミカル。代表の中川興一さん、デザイン室ディレクターの小林雅央さんにお話を聞きました。

▲中川ケミカル代表の中川興一さん。

中川ケミカルは、前身の中川堂から分離独立した組織。中川堂の時代に塗料の代わりとなる商品としてカッティングシート(以下CS)の開発がスタートしました。現在、同社の主力となっているCSをはじめとする屋内外で使用可能な装飾用シートは、さまざまな使い方によって広く市場に供給されています。照明設計の場でも間接照明の施工の一部に使われるなど、商業空間の内外装の素材として活躍しています。

▲神楽坂の日本料理「斗南」。
MATERIOシリーズの箔シートが施された店内の壁を見て、オーナーはその仕上がりに驚いたという。

装飾用シートのなかでも、注目すべき商品シリーズが「MATERIO(マテリオ)」。発売から16年、すでに認知度の高い製品ですが、改めて紹介したいと思います。他のCSとの違いは、本物の緑青、鉄錆、金銀箔などを1枚のシートにしているところです。中川さんは「中川ケミカルの理念や面白さを体現する製品」と言います。

▲金沢のホテル「彦三町」の銀の間。

箔シートの開発には「1年以上を費やした」とデザイン室の小林雅央さん。箔シートは、広島にある歴清社との協業によるプロダクトです。歴清社の技術協力により、箔シートはより上質な空間をつくるときに必要な商品となりました。さらに箔の文化を支えることにも貢献しています。

▲緑青のMATERIOを使った施工例。

箔シートは自然光に近い光を当てても、派手さを感じることはありません。鉄錆シートや緑青シートは表面に細かい不均一な凹凸があり、ツヤ感も少ないため、照り返しが弱く、光との相性が良いアイテムとなっています。現在、MATERIOは歴清社のスタッフを含む専任チームで開発と販売戦略を展開しています。「シートは貼った時点で、平面から立体となり、その向こうに見える景色が生まれ、工夫しだいでいかようにも可能性をつくることができる」と小林さん。

▲中川ケミカルが主宰するCSデザインアワード19回のグランプリ作品「IROMIZU」。ラワン材の上に、装飾用シート「IROMIZU」が貼られている。

今では街の景観をつくるサイン計画のグラフィックをはじめ、中川ケミカルの装飾用シートは商空間から住空間まで、他の内装材と同等に使われ、多様な空間を演出しています。End

▲東日本橋にある「MATERIO bese」。築30年あまりの狭小・変形ビルのリノベーションで、空間デザインは野井成正さんが担当。MATERIOシリーズの鉄錆シートがふんだんに使用されている。見学・問い合わせはCSデザインセンターまで。




取材協力 : 株式会社中川ケミカル 
http://www.nakagawa.co.jp