9月末デンマーク・ビルン市に完成した「レゴハウス」。
建築集団BIGによるミニチュアが実体化したかのような建築

▲Photo by Iwan Baan

ブロックトイの代名詞とも言えるレゴは、本来、動物やクルマ、船舶など、世の中にあるさまざまなものを近似的にミニチュア化してつくることのできるオモチャだ。その生まれ故郷であるデンマークで、「子どものための首都」を目指すビルン(Billund)の市長が、レゴ本社と建築デザインオフィス、ビャルケ・インゲルス・グループ(BIG)の協力を得て建設した「レゴハウス」は、ちょうどその逆の関係にある建物と言える。「レゴ・エクスペリエンス・センター」とも呼ばれる同施設は構想段階から大きな話題となっていたが、9月28日についにオープンし、全貌が明らかとなった。

▲Photos by Iwan Baan

外観は、まさに積み重ねられたレゴブロックそのもので、21個のユニットが互いにオーバーラップした構成だ。内部は、その重なりの隙間から差し込む自然光を軸に照明環境が形成されている。

「遊びから学ぶ」というレゴのモットーを具現化したレゴハウスでは、ブロックを使ったさまざまなアクティビティが楽しめるが、「想像力から生まれる無限の可能性」が同社のマニフェストなだけに、外観自体がそうした可能性を象徴する形となったのも、ある意味で必然だった。

▲Photos by Iwan Baan

先ごろ、アップルも自社のアップルストアを半パブリックスペース的なタウンスクエア化していくことを発表したが、レゴハウスもそのような性格とレゴの体験センターを兼ねたオープンな施設としてつくられた。また、建設場所はビルンの旧市庁舎の土地を利用し、公的にも新たな街のシンボルとなっていくことが意図されている。もちろん、デンマークという国を代表するレゴという製品があればこその方向性だが、新たな地域開発のあり方を示す試みとしても興味深い。

レゴはもちろんこの建物も、世界の名建築をキット化している同社のアーキテクチャシリーズに加えたのだが、もしかするとBIGは先にレゴを使ってレゴハウスのデザイン検討を行ったのかも……と考えるだけでも楽しくなる。このキットはレゴハウス内のみでの限定販売なので、世界中のファンがビルンの街を目指すことになりそうだ。

ちなみに、レゴハウスは基本的に年中無休だが、混雑を避けるために予約制で、チケットはウェブから購入可能。2歳以下の幼児は無料、大人も子どもも199DKK(約3,580円)の統一料金だ。End